PAUネット パワー全開でアクション~もてなしの心 現在[いま]も
投稿日時:2021年02月26日(金)
接触の制限などを余儀なくされるコロナ禍により、これまでのような交流が許されない状況が続いている。そんな中、未だ不透明ではあるが東京五輪への出場を目指して練習に励むウズベキスタンの選手団に、精一杯のエールを送ろうと動画を撮影する市民を追った。
東京五輪・パラリンピックでウズベキスタンのホストタウンとなった本市だったが、新型コロナの影響で開催は延期に。思うような交流が出来ないなか市は動画制作を企画した。市内の団体・市民へ投稿を呼びかけ、寄せられた5秒ほどの動画をつないでつくりあげるというもの(動画投稿は28日まで)。本来肌寒いはずの2月にしてはめずらしく、暖かい陽気に包まれた22日。総合庁舎(浜)内の一室に集まり、何やら黙々と作業に没頭していたのは、PAUネット(大川るり子代表、11人)のメンバーたちだ。男女共同参画社会の実現を目指して活動を展開する市内の女性グループで、P(パワー全開)A(アクション)U(アップ)の意味を持つ。2016年には、舞鶴の女性らが引き揚げ者へ行ったおもてなしなどの活動をまとめた記念誌も発行した。広げた大きな紙に切り貼りされた文字には、ウズベク語で「頑張れ ウズベキスタン」と記している。紙の左上部を陣取った国旗は、カラーペンで手描きしたものにハサミで切り出した星柄を並べて表現した。「ちょっと小さいかな」「もう少し上かな」などと下書きしては何度も消して、声を掛け合いながら描き上げた舞鶴市のマーク。印刷してしまえば早そうなこれらの作業一つにおいても、心を込めて届けたいというメンバーたちの気持ちが見て取れる。奮闘すること2時間超で、ようやく納得のいく横断幕が仕上がった。
続いて手際よく割烹着に身を包むと、持参した『小道具』の重箱を開いた。そこにお目見えしたのは、丁度よくカットされたふかし芋と、計6合の米を使用して作ったという特大おむすび3個。引き揚げ時に当地の女性がふかし芋などを振る舞いもてなしたように、それを再現した撮影を試みるというメンバーたち。「ウズベキスタンとは引き揚げをきっかけに始まったご縁。これしかないと思った」と口を揃え笑顔を弾けさせた。これ以上大きくなると割れてしまうと試作を重ねて準備した特大おむすびやふかし芋も、実際に届けることはできない。それに投稿する動画に映るのもわずか5秒ほど。「せっかくやるならきちんとやりたい」と妥協をせずに、本物のもてなしにこだわった。青空の下「オルガ ウズベキスタン」(ウズベク語で、頑張れ ウズベキスタンの意味)と力強く声を合わせて収めた動画。撮影を終えたメンバーたちは、「これでウズベキスタンまでエールは届くと思う」と満足感を漂わせ「あー楽しかった」と充実の笑顔を見せた。決して繰り返してはいけない、悲惨な歴史の中で築かれた縁―。しかし女性たちのもてなしの心は現在[いま]も、色あせることなく継承されているようだ。
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