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FMまいづる・中継局問題『対立の行方は』<br>平行線のまま泥沼化

FMまいづる・中継局問題『対立の行方は』
平行線のまま泥沼化

投稿日時:2022年09月20日(火)

 FMまいづるを運営する一般財団法人有本積善社が9月2日、いまだ解決の糸口の見えない「中継局問題」に関し、同法人の見解をホームページ上で公開した。文書で同社は、後手を踏み続けながらも巧みに問題をすり替えて責任の所在をはぐらかす市への対決姿勢を改めて鮮明にしており、市がどういった対応を今後とっていくかに注目が集まっていた。そんな中で始まった舞鶴市議会9月定例会で14日、代表質問に立った鴨田秋津議員に対して、多々見良三市長が答弁。感情をあらわにする一幕もあった。

 市が全額を国からの補助金で賄って設置した中継局が使用できず、市の財源で新たに設置し直した「FMまいづる中継局問題」。3月に市民らが住民監査請求を行ったものの、市監査委員は「無線局の設置工事は、試験電波を発射しなければ実際の電波の状況を把握できない不確定要素があり、建築工事と比べて特殊で基本設計等に瑕疵があるとまではいえない」と結論付け、棄却。ほとんどの市議が問題視しない中、この件について鴨田秋津市議が6月定例会で質問。答弁に立った川端常太市長公室長が再三にわたって「(無線回線での送受信は)FMまいづるからの強い要望だった」と答弁したことに対し、同法人は申し入れ書で「基本設計で有線回線が決定していたものに対し、当財団から設計変更を強く要望したという事実は一切ない」と強く反発。「当財団がボランティアで協力した技術的助言行為を受信トラブルの原因のように誇張して表現することは道義的に許されることではなく、当財団と舞鶴市の一切の信用を失うもの」と糾弾し、川端公室長の一連の発言に対し撤回、訂正を求めた。
 一方、舞鶴市は回答書で「特定の者の責めに帰す考えはない」と取り合わず、7月21日に開かれた市議会議員協議会での鴨田議員の質問に対しても、のらりくらりと論点をずらす答弁を繰り返した。その中で答弁に立った市広報広聴課の大槻成雄課長が、加佐中継局への放送データ送信の運用について「無線と有線を併用して加佐中継局に送信し、中継局に設置してある機器によって自動で状況が良いデータを使用して放送する運用になっている」と説明したが、後日になって内容を訂正すると発表。そこで「自動で状況が良い方のデータを使用する機能を備えた機器は設置されているが、FMまいづるとの連携が十分でなく、現段階ではFMまいづるにおいて、状況が良い方のデータを手動切替で放送する運用とされていた。FMまいづるによると、現在までのところ専ら有線で放送している」とした。
 こうした一連の流れの中で、FMまいづるを運営する有本積善社は、事実に即していない市の主張に対し「責任転嫁に他ならない」と反発を強めていた。

FMまいづる加佐中継局

 【「物の見方」の実践を】
 14日の代表質問で鴨田議員は、多々見市長がこれまでから披露する政治信念と政治理念を挙げて質問を展開。それを受けた答弁で市長は、「物の見方は、鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目と様々な視点が必要で、誰か一方の意見だけを聞くのではなく広い視野に立ち全体を見てどこに問題があるのかを調べる姿勢が必要」などと自説を述べた。その上で、国からの補助金1.6億円については「私が粘り強く資源エネルギー庁に交渉した結果」と強調。無線回線の送受信がFMまいづるの要望を受けたものであるということについては、「加佐地域は有線、大浦地域は無線とする基本設計をした後に、関係する様々な人との実施計画を作るにあたって交渉の中でFMまいづるから当初の有線でつなぐ加佐中継局を整備することについて、無線回線が可能な場所をさらに検討する必要があるという文書によるコメントがあり、その後も協議の場で幾度か同様の意見を受けており、当時の担当者はこの一連の意見を要望と認識した次第だ」とし、「答弁を撤回する必要はないと判断している」と断言した。
 質問の終盤、鴨田議員が「市長は、信頼を裏切らず・約束を守り・感謝を忘れずに、と先ほども言っていただきましたが、FMまいづるという相手の信頼を裏切っており、約束を破っているとは言えませんか」と市長の披露する政治信念に絡めた質問をすると、市長は不快感をあらわにして「要望されたという証拠はあります。見に来てください」と語気を強めた。
 この日の議会答弁を確認したFMまいづるの担当者は舞鶴市民新聞社の取材に対し、「我々はアドバイザーとして意見を求められるのみの立場で、要望する立場ではないことは双方が認識していた。証拠と言うものがどういうものかは全く分からないが、見てみたい」と話した。
 この日の答弁で幾度となく市長が用いた「物の見方」。自説で朗々と述べたように、「解決できない時にはコウモリのように逆さにぶら下がり物の見方を変える」目を市長は本当に使ったのだろうか。まるでそうは思えない感情的な一面を見るにつけ、その言葉が自らに吐いた唾となる危惧から離れられそうにない。

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