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17年の足あと確かに

17年の足あと確かに

投稿日時:2020年08月04日(火)

やる気に満ち溢れた笑顔を弾けさせる受講生たち

 国内屈指の観光都市を擁する京都府の中でも、海や山の自然が豊かな自治体は限られる。本市は豊富な自然に恵まれた環境下にあるものの、市内外を問わずその認知度の低さは否めない。こうした知られざる地域の魅力を発信するスペシャリストともいえる「ネイチャーガイド」の養成講座(舞鶴商工会議所、青葉山レインジャー隊共催)が、このほど浜の商工観光センターで開講した。

 5月に予定していた開講式は、新型コロナウイルスの影響で中止となり、今回青葉山レインジャー隊の一瀬政人隊長(校長)による第1回講座「舞鶴の昆虫」で幕を開けた。舞鶴の豊かな自然を紹介するネイチャーガイド養成講座は、1年目の初級から中級、上級と修了までに3年を要する。17回目を数える今年は、初級(11人)中級(16人)上級(6人)合わせて33人が参加。舞鶴の海、山、川など各分野の自然環境とともに環境保全について学ぶ。この日は受講生のほか、すでにネイチャーガイドとして活躍する修了生や各講座の講師も務める専門家らが出席。抜粋した自然保護憲章『自然をとうとび、自然を愛し、自然に親しもう▽自然に学び、自然の調和をそこなわないようにしよう▽美しい自然、大切な自然を末永く子孫に伝えよう』を唱和した。「舞鶴の昆虫」をテーマに始まった講座では、昆虫や甲虫の種類などを紹介しながら解説。昆虫の種類は世界で100万種、日本で2万種あり、そのうち当地で確認された数なども伝えた。また当地で鹿害などにより絶滅危惧種になっている蝶【チョウ・ギフチョウ▼ウスバシロチョウ▼オオムラサキ】をあげ、府のレッドデータブック(絶滅危惧種)生息地(発見場所)に舞鶴が多く入っていることにも触れた。「これは恵まれた多くの自然環境があることを意味する」とした一方で一瀬さんは、深刻化する生態系破壊や環境保全の必要性も訴えた。

【好奇心で気づく 我がまちの魅力】

 この日、会場内には一瀬さんが持ち込んだ標本も並び、休憩時間を利用して受講生らは興味深そうに見入っていた。初級講座を昨年度に修了し、今回が2年目の参加になる土本圭二さん(56)知左代さん(53)夫妻は、知人が講師をしていたことをきっかけとして受講を始めたという。知左代さんは「この虫は、この花は、この鳥は何だろうと、今まで気にもしなかったようなことを知ることで毎日の見え方が変わりました。舞鶴はこんなに魅力がいっぱいなんだと嬉しくなります」と笑顔を見せた。同講座を開設し、初代から10年以上にわたり校長を務めた荒木邦雄さん(78)は、これまで多くの人に向けて案内人として活動を続けてきた。熟練のガイドを求めて何度も当地を訪れる観光客も多いと、もっぱらの評判だ。荒木さんは年間通した様々なガイドを季節や参加者の雰囲気、年齢層に応じて工夫しているといい、「喜んでもらえるような案内先を考えるのも楽しみのひとつ。舞鶴は本当に自然豊かで誇らしい。大好きな舞鶴の魅力を最大限伝えられるようなガイドが増えてくれたら嬉しい」と話した。近年では各自治体が地域のさらなる魅力発信や観光地の掘り起こしを目指す中で、存在感が高まりつつあるネイチャーガイド。今では全国各地でその企画や取り組みがみられるようになったが、2004年に全国に先駆けて最初のネイチャーガイド養成講座を開講したのは紛れもなく本市だ。全国で初めて産声をあげた養成講座は今年も、舞鶴の豊かな自然を紹介するべく学びを深めている。郷土愛が生み出す案内役の着眼点は今後、地方創生のカギとなってくるのではないだろうか。いずれ講座から巣立っていくガイドの活躍から、目が離せそうもない。

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