14日、大森神社の例大祭
投稿日時:2023年07月11日(火)
地域の結束 再び強く
以前通りの大名行列も挙行
新型コロナウイルス感染症が第5類となり、制限のあった日々の暮らしがこれまでの日常に戻ってきた。地域を彩る各種イベントも通常開催となる流れの中、14日には地元住民が守り育んできた「大森神社例大祭」が執り行われる。
例大祭を1か月後に控えた6月某日、行永公会堂(行永)で太鼓の稽古が行われていた。
参加していたのは祭礼で伝承締太鼓奉納をする「行永宮衆会」の面々。例年、地区の中で古稀を迎える男性が太鼓を奉納する習わしで、行永地区では毎年6月の1か月間を稽古期間と定め、平日に熟練の先達から指導を受けて腕を磨く。
およそ150世帯ある同地区で今年古希を迎えるのは、工原巧二さんと今儀裕己さんの二人。この日も二人は、椿博美さん(80)や山本幸夫(77)さんらから、つきっきりの指導を受けていた。独特の節回しで叩かれる太鼓を、取り囲んだ先達らが真剣なまなざしで見守る(=写真)。緊張感漂う空間には、連帯感と地域愛があふれている。
「今のは良かった」「そこはもっとこうした方が良い」「背筋を伸ばして、腕をまっすぐに」などと、演奏を終えては的確な指導の声が入る。
古稀の二人はその都度、真剣な表情で指導に聞き入り、時おり首をかしげながら手を動かしていた。
コロナ禍の影響でこの何年かは、稽古で集まることもままならなかったという椿さんは、「こうして集まれるのは本当にありがたい。この数年は灯りが消えたようだった。この機会にみんなの元気な顔を見られるのが活力になります」と笑顔を見せていた。
椿さんは、「昔は、太鼓を奉納できるのは家の誇りだった。私の時には4人いました。行永で育って、自分も70になったんだと感慨深かった気持ちを覚えています」と振り返っていた。
この日集まった人の中で最年長の國松祥一さんは88才。18年前を振り返りながら、「こういう伝統ある行事を、今の若い人たちが続けてくれるのは本当にありがたいです」と目を細めていた。
同地区の他にも森宮衆講が太鼓奉納をすることになっており、森地区では松原繁さんが奉納者、古川嘉男さんが奉持者を務める。
祭礼当日に向け両地区は、いずれ劣らず稽古に熱を上げる。
それぞれの思いが集まった夏祭りは、来週に迫っている。制限のないアフターコロナの日常が、いよいよ本格的に始まる。
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