10月に元中学教師・塚本さんの遺作展 追悼の碑の原画などの作品探しに協力を【舞鶴】
投稿日時:2006年08月04日(金)
中学校の美術教師をし、1992年9月9日に56歳で亡くなった塚本浩策さんの遺作展を、同僚や後輩の元教師と教え子たちが10月に計画している。和田中学校の勤務が長く、親代わりになって生徒の面倒を見るなど、思いやりと熱血感のある人柄が、亡くなって14年経ったいまも慕われている。闘病中にも多くの切り絵などを制作し、友人らに贈って大切に残されていた作品を集めて遺作展を開く。同僚たちは塚本さんの作品を探している。 舞鶴出身の塚本さんは京都学芸大学で彫塑を専攻、卒業後中学校の美術教師になった。和田中学校には1966年から89年まで23年間勤務、生徒指導や同和教育などにも全力で取り組み、教え子だけでなくその両親の生活の相談にのるなどした。生徒のために行動する姿を覚えている中舞鶴の人は多く、いまも教え子たちは神様のような存在に思っている。 こうした姿勢は面倒見のよさも加わり、多くの若い教師らに影響を与えた。また、美術教師を集めて展覧会を開くなど創作活動にも力を入れた。昼夜を分かたず奮闘する体だったが、心臓病で何度か手術をした。若浦中に勤務のころ、先に亡くなった妻に続いて他界した。豪快で熱血、そして思いやりと繊細さを持って、56年間を駆け抜けた人生だった。 闘病中にも制作を続け多くの絵を残している。友人の新築祝いに自宅の絵をプレゼントしたり、妻や自分の見舞いのお礼に切り絵を贈ったりした。また、浮島丸事件の犠牲者を追悼する碑の建立に際し、77年に碑の原画を描いた。制作も手掛けたが翌年、手術のため入院し、後輩の美術教師に完成を託した。 友人らがお世話になった恩返しに遺作展をと話し合ったが、最近になって学校を退職して時間ができた後輩らを中心に、教え子や塚本さんの娘2人ら約10人が準備を始めた。塚本さんとつながりのある人を尋ね、贈られた作品を探し歩き、20人以上から茅葺き屋根の民家の風景の切り絵、水彩の似顔絵など約50点を確認。遺作展にはこれら大切にされてきた作品を借り展示する。 家族ぐるみで付き合いをした元教師の余江美穂子さん(61)=白浜台=は「遺作展の話をすると、多くの人から待ってましたと返事が返ってきます。作品を通して塚本さんに再び会い、集まった人たちが元気になれれば」と話す。追悼の碑の原画など作品探しに協力を呼びかけている。遺作展は10月22日~同26日、浜の総合文化会館小ホールで開く。
【問い合わせ】電話63・2539、余江さん。
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