郷土史家・真下さん、研究20年の集大成 ホームページ『丹後の金石銘文』完成【舞鶴】
投稿日時:2004年07月23日(金)
舞鶴をはじめ丹後地域の金属や石造物などに刻まれた文字資料を集めた『丹後の金石銘文』のホームページを、平の郷土史家、真下克己さん(80)が完成させた。大浦半島の石造物の調査からスタートし、約20年にわたる研究の集大成ともいえる。3年前には脳梗塞で左半身麻痺となり、野外調査はできなくなったが、資料を収拾し右手1本でパソコンに入力、平安~江戸時代の約350点の銘文や写真などの基礎データを蓄積した労作となっている。定年退職後に地方史の研究に取り組もうと決意。紙以外のものに書かれた中世以前の歴史の手掛かりを探そうと、大浦半島を歩いて板碑などの銘文を調べ、冊子『大浦の石造物』を作成した。また、多禰寺に残る大般若経を八年がかりで調べ報告書を発表した。研究者にとって必要な基礎資料をまとめる地道な仕事を根気強く続けてきた。田井の海臨寺の宝篋印塔(ほうきょういんとう)を調べたが、1文字の判読の誤りで、その製作の年が250年も逆上る指摘を受け、銘文の重要さを痛感する体験から、舞鶴だけでなく丹後地方の金石銘文の調査をしようと各地を歩き回っていた。そんな中、左半身麻痺となって野外調査を断念。代わって取り寄せた著作物などを基に調査を続けた。いつかはその成果をまとめようと思ったが、次男の俊樹さんのアドバイスを受け、本よりも追加や訂正がしやすい利点を考慮し、ホームページを開設することにした。作成の方法を専門家から指導を受け、約1年かかって完成させた。 ホームページ『丹後の金石銘文』は、金工品や石造物などの種類別、舞鶴と宮津、京丹後市などの地域別、平安から江戸までの時代別に見ることができるよう整理した。寺社などの梵鐘や棟札などを取り上げ、銘文の本文とその意味の概略、年号、写真などが掲載されている。真下さんは「片手での資料調べや入力、作成で苦労しただけに完成させることができてうれしい。地方史の研究者に利用をしてもらい、歴史の解明に役立てば。HPで交流したり、今後も追加をしていきたい」と話していた。アドレスはhttp://kinsekibun.hp.infoseek.co.jp/
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