逆境を力に変えて
三笠小・コロナを振り返る冊子刊行
子ども見守る地域の力
さらに強まる2度目の秋
投稿日時:2021年11月19日(金)
三笠小(小島みどり校長)が、コロナ禍に見舞われた激動の日々を冊子にまとめた。困難な状況を前向きにとらえる「ピンチをチャンスに」の合言葉のもと、これまで以上に「地域力」が高まった校区では、多くの人が関わる焼きいもが今年も児童にふるまわれた。
2020年。東京オリンピックに沸き立つはずだったこの年、誰もが想像もしなかったウイルスが世の中を恐怖に陥れた。突然、環境が大きく変わった学校生活。児童はもちろん、保護者や地域の人たちも荒波に放り出されることになった。
全国一斉の臨時休校に始まり、学校再開後は感染拡大に怯える日々が始まった。
マスクの着用、手洗い消毒の徹底、換気や密を避けることなど。学習以前に取り組まねばならないことが膨大で、それまで行っていた行事なども軒並み出来なくなった。
そんな日々の中で小島校長は「制限の多い中でも、子どもたちは実にたくましく前向きで、私たち教職員も負けてはいられないと元気をもらいました」と当時を振り返った。
そうした子どもたちの姿を見るたび、「子どもたちの姿やリアルな思いを記録に残したくなった」と、昨年末に全校児童に作文を書いてもらうことになった。
集まった作文には、前向きな言葉が並んだ。
3年生児童の一人は、楽しみにしていた恒例の「三笠フェスティバル」が中止になったことを「がっかりした」と振り返りながらも、地域の大人たちが振る舞った焼きいもを「やきいもしかなかったけれど今年は、すこしちがうやきいもでした。それは、とても気もちのこもった温かいやきいもでした。これは、今年しかたべられない味だとおもいました」と記した。
【焼きいも振る舞い20年】
同小と共に活動する三笠地域子育て支援協議会(張田茂一会長)は、20年ほど前から毎年、焼きいもを児童にふるまっている。
事業を始めたのは、当時の同協議会会長だった田中佐智子さん(80)。「食育にも力を入れたい」との思いで始めることになったという。今では「三笠ホットハート焼きいも」として、サツマイモの植えつけから収穫、調理まで全てを同協議会が担っている。
サツマイモは、田中さんの知人である福井県若狭町の農家に借り受けた畑で栽培。今年も200㎏を超える大量のサツマイモを用意した。
前日から、一つ一つ丁寧に土を洗い流したりかまどを組むなど、準備に勤しんだ会員たち。両日を通じて忙しく動き回った田中さんは「出会ったら挨拶してくれるし、子どもはみんな顔なじみ。笑顔で食べてくれるのが本当にうれしい」と笑顔を見せた。
張田会長もまた、「子どもたちの笑顔を見ると、準備までの苦労が吹き飛びます」と額ににじんだ汗をぬぐった。
6年生の児童の一人は作文に「私は、コロナの影響で、テニスの練習や大会が中止になってとても悔しかったです。だけど、コロナがあったからわかるということもありました。私は、これからマイナスなことがあっても、それをプラスにとらえて生きていこうと思いました」と記した。
当たり前の日常が光り輝く宝に変わり、家庭・学校・地域の結びつきはより強くなった同校区。その豊かな土地で子どもたちは、いずれ大きな希望や夢の実をつかんでいくことだろう。
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