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趣味の力が、まち照らす

趣味の力が、まち照らす

投稿日時:2020年11月03日(火)

 「海のキリン」の愛称を持ち、愛好家から熱視線を送られるガントリークレーン。京都府港湾局で勤務する小谷慎太さん(32)が、舞鶴国際埠頭に2基設置されているクレーンを、ペーパークラフトで再現した。

 ガントリークレーンとは一般的にレール上を移動可能な構造を持つ橋脚型の大型クレーン。2011年に日本海側拠点港に指定された京都舞鶴港には、現在2基のガントリークレーンが荷役作業に大活躍している。小谷さんは、設計図など様々な資料を参考にし、CADを使って展開図を製作するという。ガントリークレーンは、高脚と梁、ガーダー(横行桁)の骨格から構成され、ガーダー内を運転室が水平移動してコンテナを動かす構造だが、組み立てた完成品は、ガーダーに沿って運転室が可動する芸の細かさだ。この「海のキリン」には愛好家が多いことから、ペーパークラフトには港湾振興のみならず、観光振興にも活かせる可能性を感じずにはいられない。小谷さんはこれまでにも、クルーズ客船の「コスタネオロマンチカ」や、港湾局の巡視船「みずなぎ」、清掃船の「双鶴丸」などを製作した。それらの作品は、クルーズ客船寄港のイベントなどで配布するなどし、大きな反響を得た。小谷さんは、「港湾の担い手不足が全国的に深刻な状況の中、子どもたちが「港の仕事」に興味を持つきっかけになれば」と笑顔を見せる。

【興味を持つ きっかけに】

 小谷さんは与謝野町の出身。幼少時からモノ作りが好きだったが、小学4年生の時にパソコンを買ってもらったことで、趣味の世界が大きく開けた。なかなか買ってもらえないプラモデルに興味もあったが、印刷すればハサミと糊で組み立てられるペーパークラフト作りに熱中した。京都府に関連する構造物のペーパークラフト作りは、前任地である府中丹西土木事務所(福知山市)ではじまった。当時の上司が同市の由良川にかかる音無瀬橋をペーパークラフトにできないかと持ち掛けたことがきっかけだった。アーチ状の橋を立体化するために、様々な資料を参考にしながら、実際に現場にも赴いて細部を研究した。「隅から隅まで調べるうちに、自分自身でも対象の構造物への興味がどんどんわいてくる。手にした人が同じように感じることで、自分の趣味が少しでも貢献出来たらうれしい」と小谷さん。出来上がった作品は各所で好意的に受け止められ、認知促進に一役買った。これらの製作は、「あくまで趣味」として取り組んでいる小谷さん。作業は夜間や休日など、自分で使える時間に限られる。舞鶴での勤務が始まって、まだ2年目。妻子と3人で暮らす当地の環境を、「とても気に入っている」と話す。これから小谷さんが作り出す当地ゆかりのペーパークラフト。次回作の発表が待ち遠しい。

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