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謎多きセミ 舞鶴初の成虫捕獲

謎多きセミ 舞鶴初の成虫捕獲

投稿日時:2017年07月14日(金)

 希少種ゼミである「ヒメハルゼミ」の成虫固体が11日、大山の八幡神社奥の山林で捕獲された。同セミの成虫捕獲は市内初となる。捕獲した日本セミの会会員の嶋田勇さん(72)(京丹後市)は「長年の努力が実った。最高にうれしい」と喜んでいる。平成25年に大内野町在住で日本甲虫学会会員の黒田悠三さん(69)が大山の林道を散策中に同セミの鳴き声を偶然耳にしたことをきっかけに嶋田さんに声をかけ調査が始まった。昨年、標高240mから280m地点で鳴き声を確認。計6ヵ所にトラップ(捕獲の罠)を仕掛けたが、雄雌合計9匹の抜け殻を発見したにとどまり、成虫の捕獲はできなかった。ヒメハルゼミは毎年同じエリアで羽化する習性があり、今年は昨年の羽化状況から、2ヵ所にトラップ設置場所を絞った。6月30日にトラップを設置し、7月5日に確認した時はセミを確認できず、11日に見事、雄3匹の成虫捕獲となった。府内では福知山市大江町の元伊勢内宮、京丹後市峰山町の藤社(ふじこそ)神社、伊根町の青島の3ヵ所で確認されており、成虫捕獲は府内で4ヵ所目となる。3年前の鳴き声確認から嶋田さんとともに捕獲に協力した黒田さんは「市内で初の捕獲となりうれしい。このセミの発見は、学術標本としても自然史財標本としても価値のあるもの。当該生息地は非常に貴重であり、生息域が数十メートル四方ととても狭いので、人工的な手が加わると消滅しかねない。大切に保存されることを願います。公立の自然系博物館など然るべき施設で半永久的に保存していただければ」と展望を述べた。セミを研究して32年の嶋田さんは「3年前に声が確認されてから、成虫捕獲は念願でした。間違いなくヒメハルゼミの生息地として確認できました」と市内初の捕獲を強調した。だが、ヒメハルゼミは謎も残している。多くのヒメハルゼミは人里に近い場所に生息地しており、舞鶴のように標高の高い場所は全国的にも珍しいという。また、今年は羽化の時期が例年より遅く、原因は謎だ。「例えば野原にはより生息に適した場所がたくさんある。どうしてこのような特別な場所に生息するのか不思議です。自然に対し人間はまだまだ知らないことだらけ、だからこそ面白い」と笑顔で語った。
(井上 務)

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