要約筆記サークル「みみかき」 寄り添って活動 結成30年 難聴者らのコミュニケーション支援 高齢化、病院への派遣件数増える 子供たちへの啓発活動で新たな取り組みへ【舞鶴】
投稿日時:2012年01月20日(金)
要約筆記サークル「みみかき」(津島淳子会長)が、今月で結成から30年を迎えた。手話を使わない耳の聞こえにくい人たちに書いて伝えるだけでなく、難聴への理解を図る役割など、難聴者と中途失聴者に寄り添って活動を続けている。1月29日に円満寺の舞鶴グランドホテルで、講演などの記念式典を開く。これまでの歩みと課題を聞いた。(青木信明) 要約筆記は会話などを書いて伝えるコミュニケーション手段で、紙に手で書くノートテーク、会場での講演内容をオーバーヘッドカメラ(OHC)やパソコンで書いてスクリーンに写し、多くの人に見てもらう支援方法がある。 1981年に市主催の要約筆記奉仕員養成講座を修了した18人が翌年に同サークルを結成し、84年から難聴者の要請を受け市が筆記者を派遣する制度を全国で最初に導入した。毎年養成講座が開かれ、修了者に入会を呼びかけ現在会員は35人。 身体障害者手帳を所持する人からの依頼で、講演会や趣味の教室、自動車学校、学校での三者懇談などに派遣されてきた。車の免許を取得した難聴者からは、「合格の日をいまも忘れることができず、娘の大学の卒業式に岐阜県まで車で3時間かけて出かけた」と感謝を伝えられた。 2010年度の派遣は231件だが、最近は難聴者の高齢化もあって病院に同行することが多くなった。広い会場の講演会では、多くの情報量を伝えるパソコンが増えてきた。 手書きとパソコン班に分かれ、毎週1回書く練習をし、各地の研修にも出かけ技術を高めている。書く内容が福祉、文化、時事、教育など多岐にわたるため、常に新聞などを読み知識を増やすことも欠かさない。 一方、会員の高齢化や昼間動ける人が限られていることなどの課題もある。そのためヘルパーや看護師らに講座の受講を勧め、入会しなくてもそれぞれの職場で要約筆記をしてもらう人を増やしたり、市身体障害者福祉センターが実施する小学校の福祉出前講座で、子供たちに要約筆記を知ってもらう啓発活動にも取り組む。 津島会長(65)は「いろんなことにチャレンジをする難聴者たちから、私たち要約筆記者がエネルギーをもらい、一緒に活動することで多くを学ぶこともできます。今後も同じ立場の車の両輪として活動を続けたい」と話す。 式典は1月29日午前10時から。NPO法人大阪市難聴者・中途失聴者協会理事長の宇田二三子さんが講演する。
写真=OHCで書く練習をする会員たち
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