被災者寄り添う想い作品に 陶芸家の高井さん 日展、11回目の入選 今年も陸前高田市訪れ交流【舞鶴】
投稿日時:2014年12月09日(火)
舞鶴市成生在住の陶芸家、高井晴美さんが、改組第1回日展の工芸美術部門で入選をした。改組前の日展を含めると11回の入選を数える。東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市を支援する中で、出会った被災者たちを励まし寄り添う想いを作品に込めた。12月13日から京都市の京都市美術館で開かれる日展巡回展に出品される。1991年に初入選してから22年をかけて、昨年10回目の入選を果たし会友になった。地方からでも全国レベルの作品を作れることを示そうと、アトリエから見える故郷の海を一貫してテーマとし、岩に砕ける波しぶきなどを表現した大作オブジェを発表する。途中であきらめそうになったが、友人らの応援を受け挑戦を続けた。しかし、巨大津波が襲った震災被害を見て、一時は作品づくりができなくなったが、陶芸を通して自分にできることをしようとチャリティー展を開いて、収益金を被災地の震災遺児たちに届けた。12年からは陶芸教室の生徒たちと市民の協力も得て、陸前高田市を大型バスで訪れ、支援を継続している。そうした体験から昨年の日展の公募作には、復興への願いを込めた作品をつくり、今年も被災者との交流で生まれた想いを形にし、「海耀(かいよう)」(高さ63センチ、幅58センチ、奥行き36センチ)と名付けた。夫や姉などを亡くし、いまは海の見えない地で暮らす被災者と手紙で交流するが、手紙の最後に必ず「合掌」と書かれていることがいつも気になっていた。合掌の手を合わせた形であるひし型をつくり、いろんな想いを抱えて生きる人たちの心をいつか波が包み込み、前向きに生きてほしいというメッセージを伝えている。高井さんは「これからも被災地で感じたことを作品にしていければいい。縁の出来た被災者のことをずっと忘れることなく、気持ちを一緒にしてできる支援を続けていきたい」と話している。今年も10月9~11日、20人で同市の高田小学校や仮設住宅に向かい、植木鉢やお米などを届けた。日展は国内で最大規模の公募美術展だが、書部門の不正審査問題を受け審査の透明性を確保するなど改革を行い、今年から改組日展として実施された。京都展は来年1月18日まで。
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