被災地・宮城県岩沼市から入学 決意新たにふるさとで看護師を 小野寺さん 日星看護科3年修了【舞鶴】
投稿日時:2015年03月27日(金)
上安久の日星高校看護科5年課程の3年生35人が3月21日、修了式を迎えた。震災の被災地である宮城県岩沼市から入学した小野寺泰世(たより)さん(18)も修了証書を手にし、ホームステイでお世話になる市民たちにお礼を述べた。4月からより専門的な講義が始まるが、ふるさとで看護師になる決意を新たにしている。岩沼市は津波で市域の約50%が浸水し、約200人が亡くなった。市職員で保健師の母、由紀子さんから震災直後に被災者を救助した看護師の体験を聞いたのをきっかけに、地元の高校に合格していたが、被災地出身の生徒を支援する制度を作った日星高へ入学を決めた。同高生徒たちは被災地に出向きボランティア活動などを継続しているが、小野寺さんも13年夏に南三陸町でがれき撤去を手伝い、昨年の夏休みに岩沼市に戻った時には児童館で子供たちと交流する活動をした。毎月1度の寮からの一斉帰宅日には、市民に招かれホームステイを体験している。修了式は高校3年間の課程を終えた区切りになっている。小野寺さんは「看護実習では患者さんにとって何が必要かを考えるのが難しく、これからが始まりだと思います。被災地では建物の復興が進んでも心のケアが必要だと聞き、患者さんと信頼関係を築き笑顔を取り戻してもらえるような看護師を目指したい」と話している。ホームステイを引き受けた皛静枝さんは「自宅から遠く離れて生活することはがまんすることも多いと思う。人の気持ちのわかる看護師になってくれることを楽しみにしています」、由紀子さんは「みなさんに泰世がお世話になっていることが、復興の途中にある町で仕事を頑張ることができる私の原動力になっています。心から感謝しています」と話し、口数の少ない娘が自分の思いをしっかり伝える成長ぶりを喜んでいた。岩沼市では集団移転が県内で最も早く始まったが、家族を亡くした人の心はまだまだ癒えず、うつで苦しむ人も多く心のケアが課題になっている。他県からの応援職員50人がいまも同市役所で働くが、医療スタッフの不足が続く。
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