行永家住宅の建築年5年さかのぼる 「文政三年」(1820年)の墨書き横木見つかる【舞鶴】
投稿日時:2002年01月25日(金)
小倉の国指定重要文化財の民家「行永家住宅」(行永壽二郎さん所有)の解体・保存修理を進めている府教育庁は1月23日、解体調査の結果と今後の復元計画を発表した。「文政三年」(1820)の墨書きが記された天井板を受ける横木が見つかり、これまで考えられていた文政8年の建築から5年さかのぼることが分かった。建物正面の座敷やかまどを備えた土間などを当時の姿に戻して、保存修理することにした。今年12月末の完成を目指している。
行永家は天明時代(18世紀後半)から旧小倉村の庄屋を務めた。その民家は平屋1部2階建てで、平面積は約191平方メートル。屋根の鬼瓦に「文政八年」(1825)の銘がある。丹後地方では最古の瓦葺き家屋。
現在京都市に住む行永さんが、昭和56年から月に数度滞在し管理してきた。しかし、老朽化のため府に修理を委託し、昨年2月から府教育庁が建物を解体し、家屋の変遷過程を調べてきた。将来は行永さんがここに住む予定で、生活空間と文化財としての建物を考慮して、復元保存の工事に今後取りかかる。総事業費は1億9000万円。
柱と梁を除いた部分を解体し調査した結果、玄関の天井の横木に「文政三辰五月六日」との墨書きがあった。洗いものをした「流し」からの排水を一旦溜めて、畑に肥料として利用するための水門(直径1.5メートル、深さ1メートル)も、コンクリートの床下から見つけた。
また、上屋(2階)の屋根瓦の9割は176年間、1度も葺き替えられずに使われていることが確認された。当初の室内は土間、広間などがある丹後型の民家の造りであることも分かった。
今後の復元保存については土間のほか、板間と竹簀の子天井の広間を作る。建物正面の座敷は当初の姿とし、後ろの納戸や台所は行永さんの住居として整備する予定。瓦は6割をそのまま使う。
調査を担当する同庁文化財保護課の塚原十三雄専門員は「建築年代が5年さかのぼったが、その5年の間屋根は仮葺きしていたのかもしれない。1つの材にしろ、丁寧で手間のかかった仕事の跡がうかがえ、貴重な建物だ」と話していた。
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