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若き新市長 誕生<br>鴨田氏が多々見氏の4選を阻止<br>連携の力 組織を圧倒<br>想定を超越した民意の激流

若き新市長 誕生
鴨田氏が多々見氏の4選を阻止
連携の力 組織を圧倒
想定を超越した民意の激流

投稿日時:2023年02月10日(金)

 任期満了に伴う舞鶴市長選挙は5日に投開票され、新人の鴨田秋津氏が現職の多々見良三氏ら3候補を破り、初当選を果たした。投票率は前回選挙を大きく上回る50.7%を記録。それぞれ特色ある4候補による激戦を制し、当地では史上最年少となる首長が誕生した。

支持者らと当選を喜ぶ鴨田氏
祝いの鯛を掲げる鴨田氏

 当選確実の一報が知らされたとき、北田辺の選挙事務所では地鳴りのような歓声が沸き起こった。詰めかけた陣営の支持者は会場に入りきらず、100人を優に超える人たちは抱き合ったり手をたたきあったりして喜びを爆発させた。「歴史が変わったぞ」と大きくこぶしを突き上げていた40代の男性は涙を流し、喜びに浸っていた。
 自民党に籍を置く市長の在職が長く続いた当地では、自民以外の政党を主な支持母体とする市長の誕生は、昭和52年から1期を務めた立道団造氏以来となる。
 長きにわたって圧倒的な支持を集めてきた自民が敗れたことで、当地の今後の政局に大きな変化がもたらされることは間違いなく、4月の統一地方選でも、舞鶴市内のみならず京都府下、近畿地方にまで大きな影響が及ぶことさえ考えられる。
 盤石と思われてきた多々見市政4期目への道は、なぜついえたか。この選挙戦が始まってから、本紙は様々な立場の市民に接触し取材を重ねてきたが、そこで見えてきたのは多々見市政12年への怨嗟とも言えるほどに激しいマイナス感情の発露だった。常には政治のことを口にしない市民からまでも溢れ始めた「NOの声」は日を追うごとに噴出し、大きなうねりとなって鴨田氏を押し上げた。陣営は「現状維持か改革か」と明確な対立軸を定めて、地道にアプローチ。当初圧倒的に不利と思われた戦いを制したのは、「多々見市政を続けさせるわけにはいかない」と考える消去法による選択も多かったといえるのではないか。


 【大方の予想は4選確実】
 今回の市長選には、現職の多々見氏が異例の早さで出馬を表明。昨年11月の市議選前に「多くの人、団体に推挙いただいた」と話し、与党議員の選挙戦に積極的に関与した。早くから組織を固める必要性を、陣営が肌感覚で感じ取っていたからこその態勢作りだった。
 しかし、市議選の結果は芳しくなかった。他を圧倒する鴨田市議のトップ当選をはじめ、直前に立候補を表明した日本維新の会公認候補の新人二人も当選。鴨田氏率いる少数会派の「市民クラブ舞鶴議員団」の獲得した票数は6283票と、選挙前から3倍近くとなる大躍進を果たした。一方、多々見氏が応援する与党会派議員の得票数は約2万票となり、前回市議選から約5000票を減らす結果に。このころから、「変革への市民の期待」の萌芽は、確かに開き始めていた。
 そんな中、開かれた12月市議会では、医療問題に関する市民クラブ舞鶴議員団所属の廣瀬昇議員の質問を今西克己議員が問題視するなど、与野党は激しく対立。鴨田氏らは市長選に向けての候補者擁立を様々な角度から検討するも、「圧倒的不利な戦い」に名乗り出るものもなく、「多々見氏の4戦は確実」との見方が大勢を占めて年が明けることになった。

 【現職支持の市議と府議 結果の受け止めいかに】
 情勢が大きく変わったのは、年が明けてすぐのことだった。鯛慶一元市議会議長が児童ポルノ所持の前科を認め辞職。市政始まって以来の不祥事に、市内外に激震が走った。この問題を受けて市長選出馬の決断をした鴨田氏は、「多くの市民からの負託をいただきながら、短期間で市議を辞職することになり申し訳なく思う」としながらも、「立ち上がる時だと決意した。市議会改革に心血を注いできたが、このようなことも『なかったことにしようとした』議会に不信が極まった。もう、市長として抜本的に改革するしか、市民の信頼を回復する手立てはない」と語り、準備不足の感が否めない選挙戦に突入した。
 鴨田氏がまず打ち出したのは、「身を切る改革」。昨年12月の市議会定例会では、市長をはじめとする特別職と議員の賞与増額について、「市民の理解が得られない」と市民クラブ舞鶴議員団と共産党議員団が反対。その流れを受け鴨田氏は、まずは自らが改革の先陣を切るとの公約を掲げた。
 分かりやすい公約と対立軸が明確になったことで、鴨田氏への支持は急速に広がりを見せた。陣営の選対本部は20代から40代と若い世代が中心となり、SNSを巧みに使って支持拡大に努めた。
 選挙戦最終日となる4日には、東舞鶴駅前と北田辺事務所近くの大手交差点、西舞鶴駅前の3カ所で街頭演説を実施。日本維新の会所属の参議院議員である猪瀬直樹氏も来鶴し、マイクを握った。
 最後を締めくくった西駅前には、およそ300人の支持者が集結。溢れんばかりの熱量で、「最後の一押し」を確かめ合った。
 一方、圧倒的多数の市議、府議らが支援した多々見陣営だが、その勢いには明白な陰りがあった。選挙戦最終日、予定になかったが急きょ訪れたという西田昌司参議院議員と本田太郎衆議院議員は、「多々見市政が続かないと大変なことになる」と強調。西田議員は鴨田氏について、「給料カットは聞こえも良く結構な事。だけど、そんな金額を節約したところでたかだか知れている。必要なのは、しっかり予算を引っ張ってくる政治の力」だと訴えたが、聴衆は圧倒的に少なく、空虚に響くばかりだった。
 今回、地盤の脆弱な組織で市長選を戦った鴨田氏は、1万5686票を獲得。一方、多々見氏の獲得した票数は1万1580票だった。多々見氏の支持に回った市議が市議選で獲得した票数約2万票から、約8500票も落としたことになる。
 しかしながら、市議会の勢力図では圧倒的に反市長派の議員が多く、いわゆる「ねじれ」の情勢となると考えられる。そうしたことを踏まえ鴨田氏は、「市民の皆さんの思いと力を集めていただいた。今後の市政運営は困難なかじ取りが続くが、しっかりと務めていきたい」と述べたが、今後の市議会がどのように運営されていくか。新しいリーダーを送り出した市民は、その行く末を注視し続ける責任がある。

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