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舞鶴高専専攻2年・吉富さん、障害者ボート男子シングルスカルで パラリンピック目指しアジア大会日本代表選考会へ【舞鶴】

舞鶴高専専攻2年・吉富さん、障害者ボート男子シングルスカルで パラリンピック目指しアジア大会日本代表選考会へ【舞鶴】

投稿日時:2010年07月13日(火)

室内マシンを使い練習する吉冨さん

 舞鶴高専電気・制御システム工学専攻2年の吉富大祐さん(22)が、障害者のボート競技のアジア大会に向け、7月17日に埼玉県戸田市で開かれる日本代表選手を決める選考会に、男子シングルスカル(1人乗り)で出場する。4年前にバイク事故で脊髄を損傷する重症を負ったが、約半年間のリハビリを経て車いすで復学し競技も再開した。入院中に知り合い、ともにリハビリに励んだ友人と、2012年のロンドンパラリンピックを目指している。電気情報工学科4年生の9月、バイクを運転中に対向車を避けようとして転倒した。背骨がくだけ救急ヘリで東大阪市内の病院へ運ばれ手術を行い、枚方市の病院へ転院してリハビリを開始した。ベッドから上半身を起こすことさえも苦しい日々が続く中、交通事故で入院する大阪市内の1つ年上の男子大学生と出会った。自分よりも重いけがだったが、一緒にリハビリを行うように。大学生は高校時代、フェンシングで全国大会の出場歴をもつ。高専入学後ボート部で2年間競技をしたことを話すと、「フェンシングとボートでパラリンピックに出よう」と冗談めかして言われた。車いす生活になることは覚悟していたが、励ましあう友人ができたことで「なんとかなるやろ」と前向きになれた。医者も驚くほどの回復ぶりで翌年4月に復学。当初は学校に戻れないと思ったが、高専側が施設や敷地内の寮をバリアフリー化するなどで支援、同級生らもサポートした。専攻科へ進学し車いすハンドボールも始めた。友人も車いすで競技を再開し、一緒に旅行に出かけるなど交友を続けている。〇八年の北京パラリンピックで、障害者のボート競技「アダプティブローイング」が正式採用されたことを知った。転覆防止のリガーを付け、座席も固定式など特殊なボートを使う。競技艇を備える練習環境が一部の地域にしかなく、競技はあまり普及していない。日本アダプティブローイング協会に練習法を問い合わせたところ、昨年12月に埼玉県の漕艇場で乗る機会ができ、競技を勧められた。今春には韓国大邱(てぐ)市での大会に招待選手で出場。3位に入賞したが練習不足を実感し、5月から浜の漕艇センターでローイングエルゴメーターと呼ばれる室内マシンを使って、2~3000メートルの距離を漕いで持久力をつける早朝練習を、東舞鶴高校ボート部顧問の教諭の協力で取り組んでいる。12月に中国で開かれるアジア大会の選考会は5人が出場する予定で、マシンを使った室内レース、ボートに乗っての2レース(距離1000メートル)のタイムトライアルで代表1人が選ばれる。選手の中で1番キャリアは浅いが、ここ1ヵ月間の練習でタイムを1分10秒縮め、6分10秒台にのせチャンスはある。吉冨さんは「事故直後は手も動き意識もはっきりしていたので、生きてみようと気持ちを切り替えることができました。ボートは風を受けて気持ちがよく楽しい。まだまだ実力不足ですが友人とともにパラリンピックに近づけるよう、互いに練習に励みたい」と話している。

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