舞鶴湾内のアマモ調査始まる 近畿大の学生たちが生育要件など探る【舞鶴】
投稿日時:2009年08月28日(金)
舞鶴湾内のアマモの調査に、近畿大学農学部の学生たちが取り組んでいる。魚の産卵と生育場所となり「海のゆりかご」とも呼ばれ、水質の浄化作用にも役立っている海藻。長年舞鶴湾に親しみ水質調査も行う海洋環境保全推進員の高橋正延さん(73)=桃山町=が、船を出すなど協力している。戸島と乙島の2カ所でフィールドワークを実施、生育の要件などを探る。アマモは波の穏やかな浅い砂泥の海底にはえる多年草。藻場の大群落には魚たちが産卵し、稚魚が育つ。また、赤潮の原因となる栄養塩を吸収する。が、海岸の埋め立て工事によって全国的に激減しており、近年神奈川県などでは、多様な生物の環境を守るためアマモ再生の取り組みが始まった。高橋さんによると、舞鶴湾内のアマモは約50年前には至る所で群生し、海上からも繁茂する葉が見えたが、水質悪化と護岸工事などで減少したという。その後下水施設の完成で水質が改善され、アマモも多少増えているのを実感している。府立海洋センターが2004~06年に実施した府内全域のアマモ場の分布調査で、舞鶴湾は西湾や長浜など計2.7ヘクタールの藻場を確認。1973~93年までの20年間に和田などで消失したが、93年以降アマモ場が回復傾向にあり、増加原因は不明としつつも、70年代当時の状態にまで戻りつつあると報告した。近畿大4年の小坂康太さんと兒山靖治さんが、舞鶴湾で下見調査をしている際に出会った高橋さんの協力で、8月から現地調査を始め、乙島西側などで友人ら4人で藻場の広さや水深を測り、幅23.5メートル、長さ120メートルの繁茂地を確認した。葉にはびっしりフジツボが付着している様子も観察。漁船を出した高橋さんも海に入り泥を採取するなど手伝った。小坂さんは「想像していたよりも大きな藻場があるのが分かりました。同じ場所で分布にばらつきがあるのはなぜか、集めた資料を分析して生育条件を調べたい」と話す。今後も現場を訪れ卒業論文にまとめる。高橋さんは「湾内にアマモが群生していた昔はイイダコや貝もたくさんいた。当時にように豊かな海を取り戻せるよう、アマモ再生の手掛かりが見つかるよう協力したい」とする。
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