聴覚障害者ら 手話で市に要望伝える
投稿日時:2018年04月27日(金)
言語としての手話を普及し、障害に応じたコミュニケーションの手段を確保する―舞鶴市が現在受け付けている「舞鶴市言語としての手話の普及および障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例骨子(案)」へのパブリックコメントの募集に対して、府聴覚障害者協会舞鶴支部の会員や関係者らが25日、市役所を訪れ手話で要望を伝えた。この日、聴覚に障害をもつ14人と介助者、手話サークル、地元住民ら合わせて22人が市障害福祉・国民年金課を訪れた。「病院に行くと、受付がマスクをしていて何を喋っているのか分からない。手話の通じる人がいてくれれば」「消防署員の方にも手話を知ってほしい、災害の時に心配」「公共施設だけでなく、お店でも手話ができる人がいればうれしい」「学校でも子どもが手話を学ぶ機会を」など、1人ずつ、今まで困ったことや、心配していることなどの要望を手話で伝え、市の職員が通訳し文字に書き写した。病院や消防署、警察などの公共施設で手話が分かる人材の配置をはじめ、災害時や地域間の孤立など、日頃から不便や不安を感じている障害者の置かれた立場や、コミュニケーションの重要性に理解と感心を示してほしいという要望が多数あがった。府聴障協舞鶴支部の富永安雄部長(71)は「手話でコメントを受け付けてもらい、我々としてもうれしい。条例の制定で市民への理解や、手話などの普及が広まることを期待します。ぜひ、条例ができて欲しい」と期待を寄せる。同課の島田敦司課長は「頂いたご要望を取り入れ、今後の市の施策の中で進めていきたい」と話した。
【条例制定の意義】
同様の条例は2月に府の条例として制定。中丹では綾部、福知山が昨年12月に制定され、府内では8市が制定している。議会の議決で制定する「条例」で、手話をはじめ、障害に応じた意思疎通手段の確保と普及を制定する意義は大きい。手話を言語とする「手話言語条例」は4月現在、22都道府県、178自治体で制定されているが、舞鶴市はそれぞれの障害によって、市民が分け隔てられることのないよう、手話に加え多様な手段を活用できる地域をつくっていこうとする条例案を目指している。条例案は、全ての市民が障害の有無に関わらず安心して暮らせる社会の実現が目的とうたう。コミュニケーション手段の普及や啓発に市が責任をもち、手話を学ぶ機会の確保や、災害時のあらゆる体制の構築。市民や事業者にも理解や協力を求める事などが盛り込まれているが、関係者は「条例はできて終りではない。そこから今後、どう取り組んでいくかが大切だ」と話した。条例案は6月議会に提出する予定。
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