老朽化実物で実習に効果 高専社会基盤メンテナンス教育センター 開設1年 技術者たち維持管理学ぶ 早期発見し、対策可能に【舞鶴】
投稿日時:2015年03月24日(火)
白屋の舞鶴高専の社会基盤メンテナンス教育センター(iMec)が、開設から1年を迎えた。橋などのインフラの維持管理の技術を専門的に学ぶ場として、企業や自治体の技術職員、学生たち115人を受け入れてきた。老朽化した多数の橋脚などを各地から収集して展示しており、様々な損傷の具体例を見ることができる施設として高い評価を受ける。高度経済成長期に建設された橋やトンネルなどの社会インフラの老朽化が全国的に進み、時には大事故につながっている。改修や建て替えには多額の費用がかかり、その対策に自治体は頭を悩ませている。舞鶴市内にも戦時中に造られた古い橋が多いとされる。維持管理でインフラを守るため、技術者を育成する同センターを設立。1930年に大阪市内で造られたコンクリート製の橋や鋼材、融雪剤による塩害を受けた橋、最近では雪崩で損傷した岐阜県内の橋、由良川に架かっていた福知山市の大雲橋歩道橋の一部など、撤去された35点を展示している。これまでは川の上にあったり、橋の下に隠れて目にできない部分を見ることができる。2日間の基礎コースで、受講者たちはこれらの構造物の損傷を見て回りデジタルカメラで撮影し、損傷カ所について塩害、疲労、凍害などの原因を発表。続いて同センター長の玉田和也教授が展示物を示しながら劣化について解説し、ハンマーを使っての打音検査などの実習体験、補強技術の説明の座学などを受ける。市内外の民間企業、近隣自治体、和歌山や福島、熊本などの高専から受講し、14回の基礎コースを行なった。兵庫県測量設計業協会の上野省吾さん(38)は「解体しないと見ることができないような構造物の劣化の実物を見て触れることができ、知識が広がり今後の補強に活かせる」と実習に臨んだ。玉田教授は「実際に劣化した構造物を一カ所に集めているところはない。様々な原因を知ることで早く損傷に気づき対策をとることができる」と話していた。今後も劣化モデルを充実させ、応用編コースのカリキュラムの開発をする。4月からの新年度は20回の講習会が行なわれる。
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