美味から生まれる郷土愛
漁協が取り組む「魚食普及」
当地ならではの食材に舌鼓「魚のおいしさ知ってほしい」
投稿日時:2022年12月27日(火)
京都府漁業協同組合が開設する舞鶴地方卸売市場では、連日「ぶり」や「さわら」「舞鶴かに」など旬の生鮮魚介類がセリにかけられ、威勢の良い仲買人らの声が飛び交う。漁協ではこのほかにも、京都府でとれる魚の8割が集まる当地だからこそ味わえる、旬の味覚や魚の魅力を伝えようと様々な活動を展開している。
「魚の街まいづる」が誇る日本海の冬の味覚の発信は市場だけに留まらない。
漁協の協力のもと西公民館で11月22日、地域グループ「フレンド明倫」の14人が参加する「おさかな料理教室」が開かれた。
メニューはツバスとイカの刺身、ツバスのネギ味噌ホイル焼き、イカゲソの酢の物。これに当初は別の汁物を予定していたが、カニが急遽材料に加わったことで、碗から脚がはみ出るほど豪華なカニの汁物へと姿を変えた。
魚もイカも一人につき1匹ずつ準備され、それぞれ捌くところから調理できるようになっている。これら鮮魚などを含めた材料のすべてを漁協が提供。この日、漁協からは食材や調味料などを手に3人が参加した。
「近くにある魚のおいしさをもっと知ってほしい」と目を輝かせる組織部指導課の藤井伊吹主任(32)は、「魚は好きだけど捌き方がわからないという方が多い」とし「一人で丸々一匹を捌くことで調理の幅が広がるきっかけにれば」と期待を込める。
もともと明倫校区周辺住民による婦人会だった「フレンド明倫」は、今の名称となって20年ほど。だがその歴史は古く、50~60人いた前身の婦人会はかつて、西舞鶴駅などに出向き引き揚げ者を迎えては、お茶などでもてなしたのだという。
フレンド明倫のリーダー長を務める川口洋視子さん(78)は、「私たちは手ぶらで参加させていただいている。何から何まで準備してもらって、至れり尽くせりのおもてなしです」と笑顔を見せる。
京丹後市から舞鶴の漁師のもとへ嫁ぎ55年ほどになる川口さん。実はこの日、参加者でありながら講師でもあった。川口さんは漁協が魚食普及を目的に開催する料理教室での講師を務めており、魚捌きはお手のもの。市民向けに年に数回実施する料理教室は、毎回すぐに定員に達するなど人気を博している。
この日は気心知れたメンバーが“受講者”とあって、キビキビと動きあっちへこっちへ目を配ると、威勢よく指示をとばしながら調理を進めた。
まさに「魚の街」である当地ならではと言える、調理実習の域を超えたゴージャスなメニューを前にメンバーは、わきあいあいと笑顔をこぼし舌鼓を打った。
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