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細野さん(倉谷)、巡礼路を旅した記録を本に 兄の遺骨とともにスペインのキリスト教聖地へ【舞鶴】

細野さん(倉谷)、巡礼路を旅した記録を本に 兄の遺骨とともにスペインのキリスト教聖地へ【舞鶴】

投稿日時:2004年10月01日(金)

出版した本『サンチャゴ・デ・コンポステラ』を手にする細野さん

 昨年4月に肺がんで急逝した兄に代わって、スペインのキリスト教の聖地に向けた巡礼路740キロを約40日かけて歩いた倉谷のパート職員、細野隆史さん(55)が、その記録を本にまとめ文芸社から出版した。兄の乃武夫さんとともに歩くはずだったサンチャゴへの道を、遺骨をリュックに背負って歩いた。歩いている時に考えたことや途中に出会った多くの人との交流を綴ったほか、宿泊施設や食事なども書き旅のガイドブックにもなっている。キリストの12弟子の1人、聖ヤコブはヨーロッパ各地で布教していたが首をはねられ墓は行方不明とされていた。九世紀初めにスペインの西部の海岸で古代の墓が見つかり、それがヤコブの墓とされ、それ以来その街サンチャゴ・デ・コンポステラがキリスト教の聖地となり、各地から巡礼者が集まるようになった。いつくもの巡礼の道がある。クリスチャンの細野さん兄弟は巡礼路を歩くことを夢にしていたが、兄が肺がんで余命2カ月と分かり、急きょ旅を計画し2人分の旅のチケットを予約した。しかし、「お前と一緒にサンチャゴに行きたかった」との最後の言葉を残し、昨年4月に59歳で亡くなった。隆史さんは兄の代わりに歩くという気持ちで、同年6月7日にフランス国境の町ロンセスバジェスを出発。途中のクルスデ・フェローで遺骨を散骨し、7月19日に目的地に到着した。帰国後、巡礼路を歩きたい人からの問い合わせがあり、兄の供養と参考になればと、『サンチャゴ・デ・コンポステラ』(四六判、120ページ)の題名で出版した。道や休憩先のバル(バー)で出会った世界各地の旅人や地元民との触れ合い、引き出し限度額を知らずにクレジットカードを使い、ついにはお金を借りて旅を続けた失敗談、必要最低限の荷物などについて記した。いまも旅先で出会った人とやりとりを続ける細野さんは「時間だけはたくさんあるので歩きながら父や母、兄、自分のことを考えた。背負っていたものを捨てることで見えてくるものがあり、こだわりがなくなりました」と話していた。1冊1365円。舞鶴堂、ブックスアスカ、夢屋などで販売している。

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