田辺城まつり開催へ28日・舞鶴公園と西市街地で
投稿日時:2023年05月26日(金)
継続に向けて進化
城下町一帯に導線つくる機会に
舞鶴公園と西市街地一帯で28日、「第32回まいづる細川幽斎 田辺城まつり」が開催される。コロナ禍で過去3年間は中止になっていた西舞鶴の初夏の風物詩。4年ぶりの開催に向け、多くの人たちがその日を心待ちにしている。
まつりがコロナ禍で中止を余儀なくされる以前、当地はインバウンドで大きな盛り上がりを見せていた。2017年には一年間で39回もクルーズ船が寄港し、街なかを外国からの旅行者が歩く姿は日常の風景になっていた。
そんな中で訪れた2019年。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映が始まり、関連のある当地にも大きな経済効果が見込まれていた。
しかし、その後すぐに襲われたコロナ禍で、観光振興の未来図は全て白紙に戻った。
この年に実施される予定だった「第29回まいづる細川幽斎 田辺城まつり」は、GW最終日のクイーンエリザベス号寄港に合わせて開催されることになり、従来の舞鶴公園周辺だけではなく、西市街地全域を利用した大規模なまつりの計画となっていたが中止に。続く2年もコロナの影響は続き、結局まつりは3年間の空白期間を経ることになった。
今回、4年ぶりの開催にこぎつけたことについて百田重男実行委員長(65)は、「開催できることは率直にうれしいが、この3年間で随分状況が変わりました」と話し、これまで武者行列に参加していた自治会で、太鼓の叩き手や櫓太鼓の引手の減少などまつりの中核をなしてきた担い手不足の現状があることを説明。その上で、これからの時代に対応できるように内容を大幅に変更したといい、これまで舞鶴公園周辺で完結していたまつりは、複数の箇所に分散して開催することに。
百田実行委員長は、「コロナ後の観光振興に向け、田辺城一局集中ではなく西市街地一体に導線を作るという狙いも込めました。継続事業ではあるが、一から作り替えた全くの新規事業。どういう評価になるかは終わってみないと分からないが、関係者一同、精一杯力を尽くします」と力を込めた。そうした実行委員会の思いは、「新しい出発!武士(もののふ)のまつりから 町衆のまつりへ」というテーマに込められた。4年ぶりのまつりには「舞鶴市市政施行80周年」の冠もつけられた。コロナの終息を意識づける大規模イベントに、市民の期待は高まっている。
【まつり継承に若い力】
南田辺の明倫小学校で18日、京都北都信用金庫の取引業者で組織する「ほくと鵬信会」(多田浩二会長)の会員が、まつりで担当する鎧の着付け作業の練習会を開催した。
まつりが始まってから長年に渡り、この作業を担当してきた同会。まつり当日には早朝から、海自教育隊の隊員や海上保安学校の学生らに鎧武者装束の着付けをする。総勢60人ほどへの着付け作業には熟練を要し、同会では毎年、会員向けの練習会を実施している。
この日の練習会には20代から40代の会員約30人が参加。一つひとつの作業工程を丹念に確認していた。
49歳での卒業がある同会で、今年が最後の参加になるという男性会員は、「3年間の中止期間で、経験豊富な人材がずいぶん減りました。しっかりとまつりを継続していくためにも、地道な継承が重要だと思います」と話していた。
同会の多田会長は、「4年ぶりの田辺城まつりの武者行列という事で、初めての人や久しぶりに着付けするメンバーが多かったですが、ベテランの指導によりしっかり練習出来ました。まつり当日には、ばっちり着付けされた武者の勇姿を市民の皆様にお見せできそうです」と自信をのぞかせていた。
様々な人々の思いを受けて28日、4年振りのまつりが幕を開ける。
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