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生きる姿、命のつながり熱演 音楽劇「君よ生きて」 抑留と引き揚げ描く 市民、高校生メッセージ受け取る【舞鶴】

生きる姿、命のつながり熱演 音楽劇「君よ生きて」 抑留と引き揚げ描く 市民、高校生メッセージ受け取る【舞鶴】

投稿日時:2015年07月07日(火)

 シベリア抑留と舞鶴港への引き揚げを描いた望月龍平シアターカンパニーの音楽劇「君よ生きて」の上演などの取り組み(市などの主催)が、7月1日~5日にかけて浜の総合文化会館小ホールなどで行なわれた。俳優たちが抑留関係者から体験を聞き抑留の厳しさや舞鶴でのもてなしを熱演し、高校生や市民らが必死に生きる姿や命のつながりのメッセージを受け取った。物語は仕事を辞め人生に不安を感じる若者、トモキが舞鶴港に到着したところからスタートする。そこで亡くなったはずの曽祖父・善吉と出会い、時空を超えて、第2次大戦後のシベリア抑留の収容所にたどり着く。過酷な労働と飢餓に、トモキは抑留者が次々と亡くなる現実を目にした。芝居と歌と音楽を織り込み演じられる。13年間に約66万人の引揚者を受け入れた舞鶴市は、戦争を知らない世代に演劇を通じて史実を伝えようと、演出家の望月さんらに取材協力、舞鶴観光協会など各団体も公演を盛り上げる会を設立し後押しした。全国ツアーのトップを切って舞鶴公演が決まった。出演者一行は1日、北吸の赤れんがパークで開催中の引き揚げ記念館特別展を見学、抑留体験者の原田二郎さんから話を聞き役作りに活かした。2日夜は報道や団体関係者を招き、本番さながらの通し稽古を実施した。3日は日星高校生徒約210人が団体鑑賞し、役者たちからオープニング曲「メッセージ」の歌唱指導を受けた。4、5日の本公演では、引揚港近くの大浦小学校の小学生約70人や市民たちが来場し、ほぼ満席となった。俳優らはわずかなパンを奪い合い、家族の待つ日本へ必ず帰国する望みを支えに必死に生きながらも、飢えや病気で亡くなる仲間、舞鶴港での市民によるお茶の振る舞い、帰国後はソ連のスパイと蔑まれ殺された場面などを演じた。望月さんは「9月の世界記憶遺産登録に向け弾みとなる舞台となれば」、善吉役の小西のりゆきさんは「舞鶴の海と山を見て、引揚者が見た景色をリアルに感じることができた」と語った。鑑賞した日星校3年の杉本渚さん(17)は「抑留シーンは迫力があり自分が体験しているように感じ、最後まで日本へ帰る希望を捨てなかった場面が印象に残りました。いま生きている幸せや家族の大切さを忘れずに生きていきたい」と話していた。同校の水嶋純作校長は「舞鶴の引き揚げと戦争を若い人たちが語り継いでいってほしい」と述べた。

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