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現場に花を 地域に灯りを<br>土木事業者が社会貢献で新たな取り組み<br>業界のイメージアップにも一役

現場に花を 地域に灯りを
土木事業者が社会貢献で新たな取り組み
業界のイメージアップにも一役

投稿日時:2022年10月21日(金)

 1年間にわたり市内各地で目にする機会の多い工事現場。市民生活に欠かせないライフラインなどの整備作業でありながら、汚い・怖い・近づきにくいといった印象を持たれることも多く敬遠されがちな土木業界。こうしたイメージを払拭し地域に寄りそえるような環境づくりを目指そうと市内建設業者が、福祉活動と地域社会貢献活動として新たな試みに取り組んでいる。

協力しながら作業は進んだ

 工事現場のイメージアップを図り「地域住民らに親しみを持ってもらえれば」そんな思いで始めたのは、現場事務所などを花で彩ることだった。
 企画したのは、現在小倉西舞鶴線の道路改良工事を手掛ける大進工業(田中町・田端潔代表取締役)。省エネ対策なども兼ねて5月から夏の間は、種から植えて育てた朝顔のグリーンカーテンで覆っていた。
 時季が終わりこれに替わるものとして造花を並べていたが“何かが全然足りない”。同社の田端晶子さんは「この付近を散歩される方が朝顔を見て『きれいですね』『散歩が楽しみ』と声をかけてくださることも多かったんです」と振り返ると「地域の方に喜んでもらいたい」とプランターでの花の寄せ植えにたどり着いた。
 そこで計画したのは、同じ地区にある小倉の障害者就労支援施設「ほっこりステーション」への仕事の発注だった。同施設とは、設立時から工事や大雪の際の除雪作業を行うなど、つながりがある。また発注の際「せっかくなら一緒に作業をして交流も」と打診し、一緒に花を植える作業に取り組むことが決まった。今回の仕事を受けて橋本伸子施設長は「なかなか地域の人や他業種の方と交流する機会は少ないのでとてもありがたい」と感謝の思いを口にする。
 こうして天候にも恵まれた15日、清道にある現場事務所に同社の社長ら8人と橋本さん率いる施設利用者4人が集合。手を貸しあいスコップで土を入れるなどしながら、15個のプランターに花を植え付けていった。

 「仕事は好きです」と口にしつつも、少し硬い表情と緊張した面持ちで作業を始めたのは高橋明さん(52)。20代の頃に工事現場で警備員として働いたことがあったという高橋さんは「怒られたり色々嫌なことがあって(土木に携わる人のことを)怖いと思っていた」と話す。しかしプランターを花が彩る頃には、「土いじりは楽しかったし、今日の人はみんなやさしかった」と笑顔を見せ、長らく自身の中にあったイメージが姿を変えたことに表情を緩めた。
 この日、すでに一人が抱えてきた工事現場に対する印象を覆すことに成功。イメージアップへの確かな一歩は確実に踏み出された。
 「今後も続けていきたい」と話す晶子さんは、「ここが終わった後はプランターの花も一緒に、次の現場へ行きます」と笑顔を見せた。

心地の良い秋晴れの下、プランターに植え付けた花を前に

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