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特集「人物館」より 建物使いまち楽しむ 地域の魅力を再発見する一級建築士 大滝雄介(おおたきゆうすけ)さん 建築大賞受ける【舞鶴】

特集「人物館」より 建物使いまち楽しむ 地域の魅力を再発見する一級建築士 大滝雄介(おおたきゆうすけ)さん 建築大賞受ける【舞鶴】

投稿日時:2013年04月19日(金)

一級建築士 大滝雄介さん建築大賞

城下町だった地域の魅力を掘り起こし、建物を使ってまちを楽しむ活動に励んでいる一級建築士。昨年は市民グループ「KOKIN」を立ち上げ、仲間たちと平野屋の町屋を改修して拠点づくりをした。そうした取り組みが評価され、府建築士会舞鶴支部から今春、第5回まいづる建築大賞を贈られた。
 工務店の跡取りだったが、父から継がなくてもいいと言われ、工業デザインを学ぶため大学の工学部に進み、卒業後は東京都内の会社でシステムエンジニアとして働いた。しかし、父が病で倒れ帰郷して継ぐ決意を固めた。
 都市部で生活していたころは古い建物はいらないと感じていたが、「この地で暮らすようになり、まちに触れて考えが変わった」。転機になったのは京都市内で歴史的建築物を保存する人材を養成する講座だった。ここで講師から「町並は文化」「文化は形にやどる」と教わったことが深く心に刻まれた。「文化財とは言えないけれど、地域の町並の景観に文化が残っている」
 講座で、近代的な建築物を調査しレポートを作成する課題があった。テーマに選んだのは本町にある1923(大正12)年建築の銭湯「若の湯」。当時の姿をそのまま残す洋風の外観が面白く、地域に溶け込んでいる点にひかれた。
 まちの魅力を知るにつれ、地域文化である建物を残したい思いは募るが、仕事では壊すこともあり、そのギャップに悩んだ。「それならと個人の活動でやろう、いろんな人と共有しながら取り組もう」と踏み出す。大工や学生、公務員らとKOKINを設立し、明治期に建てられた町屋を紹介され改修に乗り出した。
 壁塗りや玄関のたたきづくりなど、市民参加のワークショップ形式で進め、ギャラリースペースなどを設けた。作業を通して仲間も増え会員が15人となり、町屋は音楽イベントや写真展などに利用されている。
 「何でもないものに価値を見出し、まちを楽しんでいくことを分かち合い、そのための拠点づくりも続けていきたい」

【プロフィール】1982年生まれ。千葉大学工学部卒業。重要文化財や寺院などの修復なども手がける工務店専務。社業では大工を育て技術を継承することを大切にする。南田辺。

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