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父が教えてくれたこと−第38回少年の主張京都府大会 KBS京都賞受賞

父が教えてくれたこと−第38回少年の主張京都府大会 KBS京都賞受賞

投稿日時:2016年10月21日(金)

受賞した青葉中の浦田さん

 9月25日、佛教大学二条キャンパスで開かれた「第38回少年の主張京都府大会」(公益社団法人京都府青少年育成協会他主催)で青葉中3年の浦田安凪(あんな)さんが9つある賞の中からKBS京都賞に輝いた。浦田さんが発表した「私の後悔」は昨年がんで亡くなった父親との思い出から大切な人との当たり前の日常や命の尊さを学んだことを語ったもの。浦田さんは「舞鶴の代表として発表できたこと、自分の経験を書いた想いを評価してもらえたのはすごく嬉しいです」と語った。当時、父親が入院していた病棟で、看護師が患者を病人扱いするのではなく楽しく会話するなど普通に接する姿を見て「将来は看護師になって、父親に接してくれた看護師さんのように心と身体のケアをしてあげたいです」と夢を語ってくれた。

「私の後悔」

 こうして今まで、何気なく過ごせていることを、私は「当たり前」だと思っていました。でも今は、これは本当にありがたいことなんだと思います。毎日ごはんが食べられて、学校に通えて、帰る家があって、そこに家族全体が揃うこと。何の不自由もなく生活することに慣れすぎて、私は一日一日を大切に過ごすことなんて考えたこともありませんでした。4月に、九州でとても大きな震災がありました。予想外の出来事だったし、九州の方々は、一瞬にして日常を奪われたと思います。明日、大きな地震があると誰もが知っていたなら、どんなに前の日を大切に過ごし、大切な人とたくさん関わることができたでしょうか。しかし、そんな能力は人間にはありません。人は、何かを失ってはじめて、その大切さに気付くのだと思います。実際、私自身もそうでした。私は今、とても後悔していることがあります。それは先に述べた「大切なもの」に気付けないまま十四年間を過ごしてきたことです。私は中学二年生の終わりに、父を亡くしました。末期ガンでした。分かったときにはもう遅く、手のつけようがない状態でした。私は中学校に入ってから父に対して、いわゆる反抗期でした。話をすることに抵抗があり、必要以上に関わらないことにしてしまっていました。それもあって、父との時間が限られていると分かっていても、上手く接することができませんでした。今考えてみると、父は悲しかったと思うし、私自身、なぜちゃんと向き合えなかったのかという後悔があります。自分がとても情けなかったです。そんな私が唯一父にしたことは、手作りのお守りをあげたことでした。ものすごく照れくさかったことを覚えています。不格好なものだったけれど、父は最後まで大切に持っていてくれました。お守り以外にも、何年も前の写真まで肌身離さず持っていてくれるような、家族思いの父でした。私は、そんな父の大切さに気付かず、そこにいるのが当たり前だと思って過ごしてきたことを本当に悔やんでいます。居なくなってからその大切さに気付いても遅すぎます。今、こうして私たちが生きている一秒一秒は一度きりで、絶対に戻ることはありません。一日一日を何気なく過ごさず、全ての時間を大切にしながら、大切な人との時間を無駄にせず毎日を送ることは決して難しいことではありません。そして同時に、それはどんなことよりも大切なことなんだと、今になって気付くことができました。私はこの苦い経験を通じて「何かを失う前に、その大切さに気付くこと」や「今、何気なく毎日を送れていることを当たり前だと思わないこと」そして「命の大切さを感じながら日々生活すること」などを学びました。この後悔を消してしまうことはできませんが、活かすことはできると思います。私は将来、看護師になりたいと考えています。私と同じような後悔をしてしまう人を減らしたいというのと同時に、何より、人の命を救う手助けをしたいと強く思うからです。まわりの人が困っている時に、自ら手をさしのべることができ、人として頼りにできる。そんな看護師になりたいです。今回の経験を活かして「当たり前」の大切さを忘れずに、学生としても、常に目標を持って、日々を送っていきたいです。

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