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漁業者悩ますミズクラゲの大量発生 京大水産実験所の益田さんらが共同研究 【舞鶴】

漁業者悩ますミズクラゲの大量発生 京大水産実験所の益田さんらが共同研究 【舞鶴】

投稿日時:2002年01月11日(金)

漁業者悩ますミズクラゲの大量発生

近年日本の沿岸海域の護岸工事でミズクラゲが増え、定置網などに入って漁業者らを悩ませている。また、このミズクラゲは一部の魚類を捕食していることは確かめられているが、近年資源量が減少している魚類との関係も注目されだした。舞鶴湾や若狭湾でも大量発生しているミズクラゲとマダイの稚魚の関係をテーマに、長浜の京都大学水産実験所の益田玲彌助手(36)らが昨年から共同研究を行っている。その実験結果を公開シンポジウムで報告した。
 ミズクラゲは日本各地の沿岸で見られ、ほぼ1年を通して出現する。舞鶴湾では4月~9月が最も多い。全国的に増えているが、特に瀬戸内海で多いとの報告がある。生後数日間のミズクラゲは着底する護岸が必要で、砂浜や海草の海辺は生息環境に適していない。各地でコンクリート護岸の増加が、クラゲの大量発生の原因とされる。しかし、その固体数や生態はほとんど分かっていない。
 舞鶴でも漁業関係者からここ数年、定置網にミズクラゲが大量にかかるのと同時に、マサバが捕れなくなったとの話が出ている。マサバの府内全体の漁獲量は、1995年の約9000トンをピークに減り続け、98年は1000トン弱だった。ミズクラゲはタラなどの稚魚を捕食する例が実験で明らかになっていることから、資源が減少している魚とミズクラゲの関連も考えられるとし、益田さんと京大農学研究科4回生の中山慎之助さんらが共同研究に取り組むことにした。
 同実験所前の海で傘径6~8トンのミズクラゲを採集し、クラゲとほぼ同じ海域に分布するマダイの稚魚を使って、その捕食行動を実験した。1個の水槽に3匹のミズクラゲを入れたところ、生後18日以前の全長7ミリ未満の稚魚は簡単に捕食された。1匹のミズクラゲは弱っている稚魚なら200匹も捕食した。
 益田さんは先月(昨年12月)末、東京大学海洋研究所主催の公開シンポで実験結果を報告し、中山さんも卒論で発表する。益田さんは「ミズクラゲを好んで食べるアジなどが増えていることも考え合わせると、資源の増減にはミズクラゲがリンクしている可能性がある。クラゲを増やさないためには海を自然の状態で残すことが大切」と話していた。今後もミズクラゲの固体数調査などを続ける。

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