浪江町の馬場町長が報告 家族分断避難、いまも… 「原発事故二度と起こしてはならない」【舞鶴】
投稿日時:2015年01月30日(金)
まいづる市民自治研究所など主催の講演会「原発事故その時どこへ?」が1月24日、伊佐津の西駅交流センターで開かれた。会場一杯の230人を前に、福島県浪江町の馬場有(たもつ)町長(67)が、現在も約2万人の町民が全国46都道府県に避難し、家族が分断されている苦しい現状を報告した。浪江町は海岸部が福島第1原発から5キロ圏内にあり、町の一部が帰還困難区域など全域に避難指示が出ている。現在は二本松市に町の役場機能を移し、馬場町長も妻らと暮らすが、息子夫婦は別の町に避難して離れ離れになっている。重大事故が起きた際、東京電力から通報が入るよう協定を結んでいたが、原子炉の電源喪失や冷却水の注水不能などについて東電から連絡がなく、町への待避指示や放射性物質の拡散予測も国と県から連絡がなかったと振り返った。震災2日目になると支援物資が入ってこなくなり、放射線の汚染を恐れて運搬するドライバーが町に入りたがらず、避難のバスも当初は新潟の交通会社が50台を寄こす予定だったが運転手が不安を覚えて来なくなり、福島県内のレンタカー会社のバス5台でピストン輸送した、と当時の様子を紹介した。自家用車での避難について「とても容易なことではない。1本の道が渋滞し地獄絵図のようだった」とし、避難計画は想定外の想定を考えなければならないと述べた。最後に「被災地から基本的人権の権利を回復したい。原発再稼働が論じられているが、全てが失われてもいい覚悟があるのか。二度とこんな事故が日本で起こってはならない」と結んだ。また、日本科学者会議会員の市川章人さんが高浜原発と避難計画に関し、避難時集合場所の青葉中では約4000人が集まり市職員6人で対応するが、駐車場の確保や住民の確認作業はどうするのか、避難バス71台の確保など計画の実効性に疑問を投げかけた。参加者からは、市民の避難先が大地震の発生が懸念される淡路市などになっていることについて問う意見も出た。
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