泉源寺、愛宕神社社殿の修復が完了 完成祝う落慶式典は7月11日を予定【舞鶴】
投稿日時:2009年06月26日(金)
地域を火災から守り信仰を集めてきた泉源寺の愛宕神社社殿の修復工事が、このほど完了した。経ケ尾(標高125メートル)山頂にある社殿は、長年の風雨を受け傾くなど傷みが進み、地元の人たちの寄付などを受け整備に取り組んだ。戦時中には海軍の砲台の建設によって、移築が行われた歴史を持っている。7月11日午前10時から完成を祝う落慶式典を開く予定。愛宕神社は元は笠松山(愛宕山、標高272メートル)に、江戸期の寛永年間(1624年~43年)に遷座されたという説と、厨子内の墨書に延享元(1744)年の文字があることから、この年に奉られたとも言われる。第2次大戦の日米開戦を前に、海軍が高射砲陣地を笠松山に構築するため、昭和14(1939)年、笠松山から南側の現在地に村を挙げ移築した。愛宕信仰は火災を防ぐ火伏の神とされるが、この神社では甲冑を身にまとい白馬にまたがった将軍地蔵が中央に祀られ、左には愛宕大権現の太郎坊、右には天狗次郎坊が置かれる。愛宕神社は全国にあるが、各地の愛宕信仰を調査する研究者によると、こうした3体が祀られる形は珍しいという。笠松山にあったころは朝来、市場など幅広い地域から信仰を集め、いまも参拝者は絶えない。毎年7月24日に例祭を行っている。風通しのいい場所にあるため、長年の風雨で社殿は手前にねじれるような形で傾き、浜縁が壊れたり戸も動かないようになっていた。神社を管理する泉源寺農事組合が中心になって、修復工事実行委員会(谷奥喜代晴委員長)を組織し、地域の人たちに寄付を募って昨年11月から工事に着工した。車の入らない山頂に社殿があり、資材の運搬のため参道を拡幅したが、工事車両は山道の途中までしか入れず搬入に苦労した。傾いた社殿はジャッキで起こし、浜縁は全面改修、戸なども一部新しくした。眺望を妨げていた立木も伐採し、眼下にまちを見渡すことができる。府と市の補助金も受け、総工費は約550万円。委員長の谷奥さん(61)は「多くの皆さんの協力があって修復を終えました。これからも地域の文化財であることを子供たちにも知ってもらい、守っていきたい」と話していた。
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