民間活力「街」を変えるか
舞鶴赤れんがパーク・年間入込客数の倍増めざす
「舞鶴の本物が集う」がコンセプト
ウッディーハウスが施設を大幅改修
投稿日時:2022年03月11日(金)
北吸の舞鶴赤れんがパーク4号棟で3月3日、4月からパーク周辺を管理運営する浜の衣料品販売会社、ウッディーハウス(志摩幹一郎社長)が、今後の事業計画を発表した。
同社は、市が目標とする年間入込客数150万人達成を今後10年で目指し、様々な施策を展開していく。
市は、今後の観光振興に民間活力を導入するという考えのもと、「舞鶴赤れんがパーク」の管理運営事業者を公募。市外事業者も含めた4件の応募のうち、「舞鶴の本物が集う」というコンセプトを掲げたウッディーハウスが事業者に決定した。
1999年に創業した同社は、脱サラしUターンした志摩社長(51)が、ショッピングセンターらぽーるに店舗を構えたのが出発点。それ以降、実店舗の新規出店やインターネット販売を通して業容を拡大、現在は京阪神地域にも複数の店舗を持ち、およそ100人の従業員を有する企業に成長した。
「地方にも本物を」という合言葉で飛躍を続けてきた同社。実店舗とネット販売を絶妙に融合させ、様々な仕掛けを展開して顧客の囲い込みに成功している。
その好例が、2016年から年に1回開催するウッディーハウスフェスタだ。このイベントでは同社で扱う衣料品を販売するほか、多種多様な事業者が出店。市内やその近郊だけではなく、京阪神からも多くの客を集めている。来場者数は年々増え続け、コロナ禍前には3日間で約2万人もの来場を記録した。同社が京阪神の店舗やネット販売を通じて得た顧客を、実際に当地へ呼び込む。これまでには考えられなかった観光振興が、確かに実を結んだと言える取組みとなった。
イベントの開催を通じて「舞鶴の底力を実感した」という志摩社長。公募へ参加する決め手となったのは、「市外の事業者にパークを任せるわけにはいかない」という思いだった。ビジネスである以上、「収支が合うか合わないか」を考えることは前提だ。しかし、最後に成否を分けるのは郷土愛。
志摩社長は「まちを思う気持ちがないと成功はあり得ない。パークの運営を通じて、舞鶴を大きく飛躍させたい」と力を込めた。
【街のランドマーク 新たな飛躍を】
この日発表された計画は多岐に及ぶ。同社は、5月中旬に予定している芝生の張替工事を皮切りに、およそ3億円の自己資金を投じて施設の改修等に取り組む。
海側芝生広場には、海の幸を中心とした食事が出来るトレーラーハウスを設置。2号棟と3号棟の間は、全天候型のオープンテラスとする。3号棟は1階を土産物店、2階をコワーキングスペースと京阪神地区の企業や大学等のサテライトオフィスに。4号棟は、レンタルスペースとし、様々なイベント等の誘致を進める。5号棟では、レンタルスペースとしての機能は維持しつつ、クラフトピールの醸造所を設置。また、別の観光拠点や街なかを結ぶEバイクの拠点とする。
一方、文庫山学園の跡地には、同社の新店舗をオープンする予定。他では手に入りにくい商品も取りそろえ、都市部からの誘客も図っていくとしている。また、飲食スペースや温浴施設なども設置、屋上と展望エリアのオープンや庭園部分を活用したドッグランなどを備えた複合施設へと変貌させる。
同社では、最後に取り組む文庫山施設の改修を2026年の3月に終える予定としている。
民間活力が、まちづくりにどのような変化をもたらすか。その成り行きを、期待しながら見守っていきたい。
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