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母校愛は連綿と

母校愛は連綿と

投稿日時:2023年03月31日(金)

若浦中・晴れ舞台に同窓会旗
~みんなで見守る子らの巣立ち~

 市内7中学校で15日、卒業式が行われた。入学から3年間をコロナ禍で過ごした生徒らは、9年間の義務教育を終え、それぞれの道を進む。まだコロナの影が完全に薄れたとは言い難いが、門出を迎えた子どもらの背中をそっと押すように、様々な祝福の形が旅立ちを見守った。

 若浦中(鈴木俊治校長)では卒業生が入場する式典を前に、在校生が歌声を響かせながら本番前の最後の合唱練習に励んでいた。在校生の出席がない中学校もあったが、同校は少人数のため全校生徒が出席。政府の発表でマスクの着用に関しては緩和されたものの、依然規模は縮小したままで来賓の出席は見送ることとなった。限られた人数の中で挙行された式には国旗と校旗のほか、生徒らを見守るようにもう1枚の旗が掲げられていた。
 同校制服のブレザーを思わせるようなネイビーの旗には、鶴のシルエットに囲まれた「若鶴」の二文字。下には舞鶴市立若浦中学校同窓会と記されている。開校20周年を記念して作られた同窓会旗の掲揚は、同校の初代同窓会長を務めた川崎清四郎氏の提案により実現した。
 今年度は同校の開校40周年の節目でもあった。しかし、尾を引くコロナの影響で規模縮小は変わらず、「来賓もなく、誰も門出の祝いに駆けつけることができない」と盛大に祝福できないもどかしさを抱えていた川崎さん。「旗を掲げることで、『同じように卒業したたくさんの人が、みんなのことを応援している。卒業おめでとう』そんな気持ちを表したかった」と口にしながら笑顔を見せる。
 コロナ禍にある子どもらの学校生活を案じる中で、同じくOBの関本長三郎氏とともに同校を訪れ、大量のマスクを寄贈したこともあった。
 また、学舎と同じように3年間生徒らが親しんできた校歌には、知られざるエピソードが。
 開校当時、「若浦中学校を日本一の学校にしよう」との熱い思いから、「ちいさい秋みつけた」「めだかの学校」などで有名な作曲家・中田喜直氏に校歌の作曲を依頼。しかし、それには高額な費用が必要で、地域の人たちの寄付などにより資金を捻出したのだという。
 そうした話や今回の同窓会旗掲揚の提案を受ける中で鈴木校長は「本当に地域の方々に支えていただき今がある」と尽きない感謝の思いを口にし「小学6年生の3学期から始まり、長いコロナ生活を送った3年生。卒業という出口の部分で晴れやかに送り出すことができます」といい目を細めていた。
 また生徒らには、式辞の中で同窓会旗の話をし、祝福する地域の人たちの思いがつまっていることを伝えた。
 巣立ちの数だけ、母校を思う数は増していく。姿を見せずとも地域に見守られたこの日、未来に大きな一歩を踏み出した生徒らもまた、その思いを引き継ぎ、あたためていくに違いない。

卒業式の様子
「若鶴」の二文字が並ぶ同窓会旗
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