次世代に夢を
中舞鶴小出身・田村選手
プロ野球で広島の4位指名
同世代で突出した存在
いよいよ最高峰の舞台へ
投稿日時:2021年10月19日(火)
プロ野球のドラフト会議が10月11日、東京都内のホテルで開かれ、本市出身で愛工大名電高の田村俊介選手が、広島東洋カープから4位指名を受けた。かつての神童が辿り着いた夢舞台。関係者らの間には、「来年からは広島ファンだ」と喜びが広がっている。
田村選手は、全国有数の高校野球名門校である愛工大名電高(名古屋市)で、1年夏からエースナンバーを背負った逸材。その球歴を紐解くと、「初」や「スーパー」など、規格外であることを評する記憶や記録に事欠かない。
共楽少年野球クラブに所属していた中舞鶴小時代には、すでに172センチと飛びぬけた体格から繰り出す最速125キロの直球を武器に、完全試合やノーヒットノーランなどを幾度となく達成。鳴り物入りで入学した四国の強豪明徳義塾中を経て、愛工大名電高に進んだ。
全国的に名将で知られる同校野球部の倉野光生監督(62)は「田村君は全国区のスーパー中学生だった。素晴らしい素材と出会い、プロに進めるよう指導しなければと強く責任を感じた」と入部の時を振り返った。
異例の速さでエースナンバーを与えた倉野監督は「野球に向かう姿勢、技術、取り組み方、そして人柄と、すべてにおいて優れていた」と田村選手を評し、「結局、教えることがないような選手がプロに行くということを痛感した」と話した。
【目指すは二刀流 エースで4番をプロでも】
身長178センチ、体重88キロ。そのどっしりとした体格から繰り出されるパワーは凄まじい。初戦敗退となった甲子園の1回戦。劣勢の中で報いる一矢となった本塁打は、右中間最深部のスタンドに突き刺さった。プロでも中々お目にかかれない一撃は、超高校生級を強く印象付けるものとなった。また、この本塁打は、夏の選手権大会での1700号というメモリアルアーチでもあり、田村選手のスター性を色濃く感じる一打でもあった。
「エースで4番」を長らく地で行った田村選手は、「プロでも二刀流を」と明言している。
広島カープの赤いユニフォームに触れ「大谷選手も赤いユニフォームで二刀流をやられているので、自分も赤いユニフォームを着て挑戦したい」と話し、「左利きなのでポジションは限られている。レギュラーを取るには外野の練習もたくさんしなくてはいけない」と決意を固めている。
「必ずプロに行く素材」と小学生当時から太鼓判を押していた共楽少年野球クの西川幸満監督は「(田村選手は)子どもたちに夢を与える存在。少子化もあり、野球をやる子がどんどん少なくなっているが、選手育成において学童野球は原点。田村君に憧れる子たちが今後育ってほしい」と期待を寄せた。
田村選手の父・俊之さん(54)は広島からの指名を喜び、「これまでは私たち両親が一緒に頑張ってきたが、これからは本人が厳しいプロの世界で頑張っていくことになる。そういう意味では、私たちは卒業のような気持ちで、肩の荷が下りました。これからは一ファンとして見守っていきたいと思います」と笑顔を見せた。
地元の神童は甲子園の星を経て、いよいよ最高峰の舞台に挑むことになる。その終わりなき躍動が、今から楽しみでならない。
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