森と海との関係解明へ間伐材魚礁 舞鶴水産実験所などが国内初の研究始める 【舞鶴】
投稿日時:2004年05月25日(火)
間伐材でつくった魚礁の効果を確かめようと、長浜の京都大学フィールド科学研究センター・舞鶴水産実験所(山下洋所長)は、美山町の同センター・芦生研究林(芝正己所長)と共同で、国内では初めてという研究を開始した。芦生の森で伐採した広葉樹と針葉樹でつくった魚礁を、同実験所そばの舞鶴湾の海底に設置し、2年間にわたって観察を続けて魚が集まるメカニズムを調査する。森と海との関係の一端を解明できればとしている。木を伐ってつくった間伐材(原木)魚礁は、昔から漁師たちによって利用されており、コンクリートや鉄による魚礁よりも早く魚が集まると言われている。京都府でも昭和四十年代から間伐材魚礁を丹後半島の漁場に設置する事業に取り組んできた。しかし、その魚礁の効果と魚が集まるメカニズが科学的に検証されてこなかった。また、海を豊かにするために、古くから漁師らが山に木を植えて森をつくることもしてきた。これまで京大の各研究施設は森や海の領域ごとに個別に研究を進めていたが、同センターは森・里・海を1つのつながりとして捉えて、その関係を明らかにしようと、今回2施設が協力した。魚礁はブナやシデなど6種類の広葉樹、スギの針葉樹、塩化ビニールパイプの3種で、それぞれ3基ずつ製作した。1基は縦、横1.5メートル、高さ1.3メートル。5月21日、実験所の岸から約30メートルの水深7メートルの海底に、15メートルの間隔を空けて3種類を交互に重りを付けて並べた。今後は2週間に1度、潜水して魚の集まり具合を観察するほか、魚礁付近の海水を採水して、木から海中に溶けだしている窒素やけい酸などの物質、植物プランクトンの量などを分析する。山下所長は「森の神秘を海の中で研究する取り組み。その関係の一端でも明らかになれば」と話している。
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