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染色ガイド書「口伝帳シリーズ」2冊目 ポリテク京都・助教授の北澤さんが自費出版 【舞鶴のニュース】

染色ガイド書「口伝帳シリーズ」2冊目 ポリテク京都・助教授の北澤さんが自費出版 【舞鶴のニュース】

投稿日時:2002年10月04日(金)

 舞鶴市上安のポリテクカレッジ京都染織技術科助教授の北澤勇二さん(48)=福来=は、染色のガイド書として利用してもらおうと、「染太郎の口伝(くでん)帳 天然染料の巻」をこのほど自費出版した。ライフワークとしている口伝帳シリーズの2冊目で、染色の知識をわかりやすく伝えると同時に、物作りの現場の職人が体験で得たカンを、理論として体系化を試みている。出版社からの誘いを断って手作りにこだわった。染織のプロや愛好者にも好評で全6巻の完成を目指している。
 実家が京都市の染め物屋の北澤さんは、大阪芸術大学工芸科染織専攻を卒業した。昭和59年からポリテクカレッジ京都に勤務。染色材料学などを専門とし、沖縄県立芸術大学の非常勤講師も務めている。ここ10年研究活動で作品づくりから遠ざかっていたが、昨年から作品展も再開した。
 植物から抽出する天然染料の研究に最も力を入れており、その研究報告を平成3年から30回にわたって、専門誌「染織α」(染織と生活社)に掲載。過去の研究者とは異なるわかりやすい内容が読者に好評だった。
 既成の染色に関する本は、学者の書くものはわかりにくく、趣味のものはごく簡単にしか書かれておらず、染色を学ぶ人には適切な教科書や参考書がないと感じた。また、職人のカンを理論化してだれでも学べるようにしたいと思い、学問と現場との橋渡しとなる本づくりの試みを温めていた。出版社からも単行本の執筆を勧められたが、新しい知識や発見をその都度加えて改定がしやすいように、数百部単位で自費出版することを選んだ。
 「染太郎の口伝帳」はB5判。「天然染料の巻」(299ページ、3000円)は五百部作った。数々の疑問と実験をもとに天然染料の成分、性質、染め方の虎の巻などを平易に伝えている。専門誌での紹介や口コミで広まり、発行から約1カ月間で約200部が売れた。昨年出した「染色心得の巻」(233ページ、2000円)は、染色の基本知識を書き、人間国宝の作家や愛好家らの間で400部の購入があった。
 北澤さんは「だれにでも手軽にできる染色は素晴らしいが、技術や知識のないままだと袋小路に陥りやすい」と話していた。書店には置かず個人売りしている。本の問い合わせはクラフトふう(電話072・895・1030)。

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