本紙に5年間連載 城下町の暮らし 生き生きと 「ぶらり城下町」出版 町の成立、幽斎の素顔など 加藤さん、近世田辺の時代 つぶさに描く【舞鶴】
投稿日時:2012年01月24日(火)
舞鶴市文化財保護委員の加藤晃さん(67)=引土=が、近世舞鶴の城下町時代の庶民や武士らの暮らしを書いた本『ぶらり城下町田辺―舞鶴』(A4版、117ページ、舞鶴市民新聞社)をこのほど出版した。本紙に5年間にわたった連載をまとめたもので、湧水を利用した国内最古の上水道など城下町の成り立ち、細川幽斎の素顔や家族、犯罪事情など田辺に生きた人たちの姿を生き生きと描き出している。 舞鶴地方史研究会などの会長も務める加藤さんは、西地区の城下町をわかりやすく紹介しようと、「ぶらり城下町」のタイトルで、2006年1月から11年1月まで本紙に95回の連載を行った。 城下町時代に関する史料は多くは残っていない中、これまで分かっていなかった町の成り立ちを連載で言及。史料がない部分は広範な史料や地図などを使って緻密に推論し、大胆な仮説も提示した。 城下町の整備にあたって、幽斎は湧水の真名井の清水を引いて上水道とし、住民たちも大切に守ったと指摘する。西地区の町の土地と道路の境界線や下水、溝などは約400年前とほぼ変わっていないことも解説した。 籠城戦を指揮したことで有名な幽斎だが、妻の麝香(じゃこう)と相思相愛の縁で結ばれ側室を置かなかった。その息子の忠興の妻、玉は夫の残忍さにおぞましさを抱き、どう生きるべきか悩みキリスト教の洗礼を受け、ガラシアとなった生涯を明らかにした。 このほか、軒を連ねた旅籠で賑わった新町など各町の様子、主人に嘘を重ね恋人の見舞いに出かけたのが露見し刑罰を受けた男の話など、奉行所で記録された犯科帳を元にした当時の犯罪のありよう、寺社の歴史、百姓一揆伝承、防衛の工夫を凝らした田辺城の構造や城内での生活ぶりなども記した。 加藤さんは「初めての人にもわかりやすく面白く、深く歴史に関心を持つ人にも応える内容にと心がけ、血肉が通ったものを書くことができたのではと思います。これを機に多くの人と議論を交わし城下町の研究が進めば」と話している。 1000部作成した。1冊1,000円。舞鶴堂書店、アスカ、なみえらぽーる店、ふれんどで販売している。
【問い合わせ】電話75・1626、akato8@skyblue.ocn.ne.jp、加藤さん
写真=本を手にする加藤さん
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