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書き残された記録 迫真の演技で劇化

書き残された記録 迫真の演技で劇化

投稿日時:2018年09月28日(金)

照明を落とした広間で、全身をつかって語られる災害記録

 市文化事業団主催の演劇企画「まいづる物語プロジェクト2018」が、このほど市内各地で行なわれた。舞鶴で撮影された古い写真から、市民らが会話を想像して創った脚本を基に演じる朗読劇で、東図書館、見樹寺など各所を会場に公演された。東地区の多門院公民館では、他所と趣向を少し変えて、地区住民が書き残した昭和28年13号台風の災害回顧録と当時の被災状況を映した写真を基に朗読劇「追憶13号台風」を上演した。回顧録は災害のあった4年後、昭和32年に当時を振り返り、克明に事実を記したもの。現場に居合わせた住民のさまざまな感情が滲み出る文章を、劇団「ニットキャップシアター」の演出家・ごまのはえ氏と俳優陣が劇化。収穫前の田畑を覆う濁流、流される家々、続いて起こる山津波、奪われた小さな姉弟の命をもの語る迫真の演技に、集まった住民は、過去にすぐ傍で起こった想定外の災害に思いを馳せて聞き入った。劇中で語られた中川誠一さんの息子、中川利晴さん(80)は当時を知る数少ない一人で「夜の9時頃、子ども4人で雨の中を必死に山へ避難した。ここがどのような土地か実感をもつ人は少ない。今の人があそこまでの事に遭わないよう自分たちの住む地域がどんな場所か忘れないでくれたら」と話す。今回の企画で地区の世話役を務めた新谷一幸さんは、同作品を過去を知って今に生かす教材として「減災」に役立ててほしいと語った。

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