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時紡ぐ 文庫山の大時計 往時と姿 変わりなく

時紡ぐ 文庫山の大時計 往時と姿 変わりなく

投稿日時:2017年11月07日(火)

 昨年12月に亡くなった吉野の林悦司さんが、20年前に北吸の老人福祉センター「文庫山学園」に大時計を寄贈した。現在も時計は同学園の職員に大切に守られ時を刻み続けており、市民らに親しまれている。

 悦司さんの父親である林秋義さんが、平成8年に69歳で亡くなり、生前よく利用していた同学園への恩返しにと、遺族らが平成9年にホール用の大時計(50万円相当)を寄贈した。時計は木地仕上げで、高さ2.1m×幅60cm×奥行き35cm、重さ約45kg。同年に多くの市民が見守るなか除幕式が行われた。除幕式の様子は舞鶴市民新聞社の第1082号(平成9年2月25日)の紙面に掲載された。先月、弊社の社員が過去の紙面を整理中に記事を発見。遺族へ連絡を取ったところ、悦司さんの妻である林博江さん(64)と話をすることが出来た。博江さんによると時計を寄贈した夫の悦司さんは昨年12月に亡くなったという。博江さんは、突然の大時計の話に驚いた様子で「今まで大時計のことは忘れていたのでびっくりした」と述べ「今も文庫山で大切にされていると聞き、夫も喜んでいると思う」と話した。同学園の関係者によると、大時計は現在まで特に大きな故障もなく、時を刻み続けてきたという。除幕式を行った当時の学園長である福井高史さん(70)は「除幕式には多くの市民に見に来て頂いた記憶がある」と当時の様子を話した。20年前の本紙掲載記事は『最後の部品を取り付けると、さっそく振り子が動き出し時を刻みはじめた』と締めくくられている。大時計はこの瞬間から20年の長きに渡り休まず時を刻み続けてきた。同学園の利用者の女性に話をすると「時計があるのは知っていたが、そんな理由があったとは知らなかった。とても感慨深い。改めて見ると本当に立派な時計ですね」と話し、しみじみと眺めていた。林悦司さんをはじめ、遺族らの感謝の気持ちから寄贈された大時計。今後も市民に愛される時計として悠久の時を刻み続けることを期待する。
(井上 務)

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