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昭和の舞鶴 鮮やかに<br>『舞鶴の山城』の廣瀬さん監修<br>時代を色濃く映す写真の数々<br>郷土を深く知る機会に

昭和の舞鶴 鮮やかに
『舞鶴の山城』の廣瀬さん監修
時代を色濃く映す写真の数々
郷土を深く知る機会に

投稿日時:2021年10月08日(金)

 当地を含めた府北部の「昭和」にスポットを当てた写真集『写真アルバム 舞鶴・宮津・丹後の昭和』(定価9082円税別)が、樹林舎(名古屋市)から発刊となった。同書の監修を務めたのは、本紙で『舞鶴の山城』を連載する舞鶴地方史研究会会長の廣瀬邦彦さん(62)。発刊に際して、廣瀬さんに話を聞いた。

 同書は、丹後地域(舞鶴市・宮津市・京丹後市・伊根町・与謝野町)全域を取材対象とし、昭和時代に撮影された写真約630点を収録した写真集。市民などから提供を受けた数千枚の写真から厳選し、掲載。写真には、郷土史家などの地元の執筆者が1点ごとに詳細な解説をつけ、一枚の写真を多角的にみることができるような編集がなされている。
 廣瀬さんが中心となって考えた章立てには「海軍と舞鶴」「引き揚げの港・舞鶴」などもあり、舞鶴だけで200枚程度の写真を収録している。
 同社担当者は「人口減少社会への移行が進んでいることや断捨離の風潮によって、昭和の写真が廃棄・散逸の危機に瀕している。また、写真の解説ができる古老や郷土史家も少なくなった」とし、「今回のような機会が、古写真の保存・整理・活用の一助となれば幸いです」と話した。

 【時代映す写真は財産】
 現在は、東舞鶴高の非常勤講師として日本史を教える廣瀬さん。監修の大役を終えて「写真は人生や景観のごく一瞬を切り取ったものにすぎないが、改めてその情報量の多さに気づかされた」と話した。
 監修に携わった期間、様々な写真1枚1枚に向き合った廣瀬さん。子細に写真を調べるうち、様々な発見があったという。
 廣瀬さんは「少しの知識と想像力があれば、1枚の写真が語りかけるものはとても大きい」と話し、「江戸時代の古文書などが貴重なのは言うまでもないが、今や写真にも同じような価値がある。世界に一枚しかない写真は財産だ」と写真の保存を呼びかけた。
 また、同書の楽しみ方について廣瀬さんは「出来れば虫眼鏡を持って見ていただきたい。さらっと見たのでは気づくことの出来ない新たな発見があると思う。また、文章もしっかりと読んでいただければ、深みのある歴史の勉強になる」と話した。
 同書は、市内の書店でも販売中で、完売後の増刷の予定はないとしている。

写真集を手にする廣瀬さん
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