昨年の東アジア国際平和シンポ報告集 「浮島丸殉難者を追悼する会」が発言まとめ【舞鶴】
投稿日時:2006年08月22日(火)
「浮島丸殉難者を追悼する会」(余江勝彦会長)はこのほど、昨年8月の浮島丸事件60周年に企画した「東アジア国際平和シンポジウム」の発言をまとめた報告書の冊子を作成した。広島市立大学広島平和研究所の浅井基文所長や、韓国・中国の研究者らを招き、追悼事業の意義や東アジアの平和について話し合った。戦争の歴史と向き合う舞鶴市民の粘り強い取り組みへの期待で結ばれている。希望者には有料で配布する。 青森県で強制労働に従事していた朝鮮人とその家族を乗せた船「浮島丸」が1945年8月24日、釜山に向かう途中に舞鶴港に寄港、謎の爆沈を遂げて549人が亡くなった。舞鶴市民で犠牲者を追悼する集会を続け、事件を題材に映画「エイジアン・ブルー」も製作され、韓国と中国でも上映された。 上映に関わった中国北京大学副教授の金勲(キン・クン)さん、韓国延世大学教授の趙載國(チョウ・ジュグク)さん、映画プロデューサーの伊藤正昭さん、同会事務局長(現顧問)の須永安郎さんをパネラーに、浅井さんをコーディネーターに迎えて、国際平和シンポジウムを8月24日開催。約320人が来場、3時間半にわたる話を熱心に聞き入った。 シンポでは須永さんが、「追悼事業を通して日本の加害の歴史を明らかにし伝えることが日本の平和に役立つ」、伊藤さんが韓国上映の反響を元に、「市民交流が平和の条件づくりになる」と発言。趙さんは「追悼する会の運動は新しい歴史を築くことにつながる」、金さんは歴史認識の問題に触れ、「お互いに共有できる歴史認識の土台を作ることが必要」と語った。 報告集の最後で浅井さんは、「シンポジウムを振り返って」と題する文章を寄稿。シンポでは東アジアの平和に向け市民レベルの交流の重要性▽日韓、日中の関係改善には日本の加害責任の問題と正面から向き合うことの重要性などの指摘があったとまとめ、「舞鶴市民の取り組みは間違った方向に向かおうとする日本に対する重要な批判・警告の意味を持っている」と今後の事業への期待を述べた。 冊子はA4判、61ページ。500部作成し、同会会員らに配布した。希望者には1部1000円(郵送料込み)で販売する。
【問い合わせ】電話75・5753、品田さん。
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