旧海軍時代の名残留める水産実験所の本館 赤煉瓦倶楽部舞鶴が専門家による調査求める 【舞鶴のニュース】
投稿日時:2002年05月10日(金)
今夏以降に取り壊される予定の京都大学大学院付属水産実験所の本館について、NPO法人「赤煉瓦倶楽部舞鶴」(松井功理事長)は5月6日、長浜の同本館を訪れ、建物内部などを見学した。本館は昭和4年(1929)に建設された旧海軍の火薬厰爆薬部の元庁舎で、最近まで赤れんが造りであることが知られず、れんが建造物の調査対象からもはずれていた。今回建物を簡単に見ただけだが、爆薬部時代の名残を留める特徴も分かり、同団体はあらためて専門家による調査を求めている。
爆薬部には工場やボイラー室、兵舎、病院などが建設され、同17年に朝来へ移転。その後、跡地は特殊潜航艇の訓練をする潜水艦基地隊となった。戦後の同22年、京大農学部水産学科がこの地に開設され、元庁舎は研究室などの本館として利用。同47年に水産実験所となった。
本館は鉄骨れんが造り二階建て。外壁のれんがにモルタルが塗られていたため、れんが造りと気づかれず、専門家や市などによる調査もされずにきた。そうした中、京大は老朽化した本館の建て替えを決め、今春新しい研究棟などを建設。それに伴って本館は取り壊す予定になっている。
同舞鶴は昨年秋、京大側に未調査の本館の調査と保存の検討を求める要望書を提出。それに対して京大からは現在まで何の回答もないという。このままでは調査されずに壊される恐れもあるため、同舞鶴はあまり市民が入る機会がない本館内部を見学しようと、この日、15人の会員が訪れた。
会員らは建物の東側にある緊急避難用のスロープと思われる施設や、玄関のテラスの意匠などを見て回った。建物内部に入り、室内の漆喰(しっくい)で塗られた天井の飾りのほか、2階の廊下に取り付けられた防火シャッターを調べた。爆発の事故に備えた施設がそのまま残っていた。また、旧海軍時代に建てられたれんが造りの煙突に使われたと見られるれんがの一部も見つけた。
同舞鶴事務局長の馬場英男さんは「他の海軍施設も見ているが、スロープや防火シャッターがあるのは初めて見た。かなり老朽化しているが、専門家による調査で建物の評価をしてほしい」と話していた。
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