新たなメディアで伝える 浮島丸事件追悼する会 紙芝居をDVDに収録 余江さん夫妻と元教員仲間が協力 上映、販売で多くの人へ【舞鶴】
投稿日時:2011年05月10日(火)
浮島丸殉難者を追悼する会(余江勝彦会長)は、浮島丸事件を題材に昨年完成させた紙芝居をこのほどDVDに収録し、事件を伝える活動に活用している。大きな会場では、プロジェクターでスクリーンに上映するなど、視覚的に事件を具体的に説明するのに役立っている。上演に出かけにくい遠隔地で浮島丸を知ってもらうため、DVDの販売も始めた。 浮島丸事件は、戦時中に青森県で強制労働をさせられた朝鮮人労働者と家族らを乗せた海軍特設輸送艦「浮島丸」が、1945年8月22日に下北半島大湊港を出港、釜山に向かう途中に寄港した舞鶴湾で24日、謎の爆沈をし、朝鮮人と乗組員の計549人が亡くなった。 舞鶴市民らで爆沈現場近くの下佐波賀で、毎年8月24日に犠牲者を悼む集会を続け、最近では韓国からも参加する人も増えてきた。会長の余江さん(70)らを中心に殉難者追悼の碑も建立し、追悼事業のシンボルになっている。 余江さんの妻で追悼する会会員の美穂さん(66)が、子供たちにも事件を知ってもらおうと、昨年紙芝居を制作。青森県を訪れ、下北浮島丸の会会長の斎藤作治さんらの案内で取材した。昨年7月から市内外の集りで披露し、犠牲者の望郷の思いを込めた絵が見る者を引きつけ、事件を目撃した人から忘れていた記憶も引き出している。 依頼があれば紙芝居を上演しているが、大きな会場で多人数を相手に事件を説明する場合に対応しようと、約40分のDVDを制作した。余江さん夫妻の元教員仲間たちが協力し、紙芝居の絵28枚を写真撮影して取り込み、台詞を吹き込んだほか、年金者組合舞鶴支部のコーラスサークルが追悼歌「はまなすの花 咲きそめて」を合唱した歌を収録した。 DVDの上映だけに頼らず、追悼する会のメンバーが説明するように心がけている。余江会長は「映像があることでイメージがわきやすく、伝えていく活動を広げやすくなった。学校でも教材として使ってもらえれば」と話している。DVDは1枚1,000円。
【問い合わせ】電話63・2539、余江さん
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