敬う心ではや幾年
森のとけいで「ふうふ展」
熟年夫妻の魅力満載
投稿日時:2022年09月30日(金)
国の示すデータによると、年間60万件の婚姻件数に対して離婚件数は21万件。およそ3組に1組が離婚している昨今、婚姻期間が20年以上の夫婦の離婚を指す『熟年離婚』が取り沙汰されることも多くなった。その離婚理由の中には、定年退職をしてライフスタイルが変わったことによる衝突もしばしば上げられている。 そんな中、上安のゆっくり茶房「森のとけい」では10月16日までの土日に、定年後に見つけた趣味を楽しむ夫と多趣味な妻による作品展『ふうふ展』が開かれている。
作品展の主宰者は、10月1日で米寿を迎える岩見英一郎さん(87)と玲子さん(85)夫妻。ギャラリー内には、定年退職後に始めた英一郎さんの版画作品や多種多様な素材を使った玲子さんのビーズアクセサリーが並ぶ。
今では版画を指導するまでになった英一郎さんだが、元々始めたのは玲子さんだった。公民館講座で習い始め自宅で版画版を削る際「硬くて彫りにくいから、お父さんちょっとやって」と声をかけたのがきっかけとなり、以来その趣味は英一郎さんだけのものとなった。
芸術的なものはまるで苦手だったという英一郎さんは「絵は描きたいと思っても描けない」といい「版画なら刷る色を変えるだけで朝焼けにも夕焼けにもなる。そこが面白いし、難しくなく自分にも始められた」と版画の魅力を口にする。
より多くの技法を学ぼうと、コロナ禍以前は毎月京都市内まで足を運んでいた。長年教えていた生徒たちは年々高齢化により減少してしまったが、今でも月に2回の公民館講座を行っている。
版画を、自身にとって定年後に出会えた最高の趣味だという英一郎さんは「作品を見てもらったりして版画に興味をもってもらえたら嬉しい」と話した。
一方、幼い頃から洋裁や編み物などのモノ作りが大好きだったという玲子さんは、手芸に留まらず体操から合唱やカラオケに至るまで、とにかく多趣味。「何でもやってみたくなるんです」と声を弾ませながらも、キラキラしたビーズで自由に仕上げるアクセサリーには、とりわけ魅了されたと話す。ステージ衣装に映えるような繊細かつ華やかなものから、ウッドビーズなどを組み合わせた普段使いに良いカジュアルなものまで、センスの光る作品がズラリ。
版画で刷る色の組み合わせに悩んだ時の強力なアドバイザーでもある玲子さんを「カラーセンスなんか抜群」と太鼓判を押す英一郎さん。50年以上を共にしながらも二人は特にケンカをしたことがないという。
おっとりした性格の英一郎さんにより「ケンカが始まらない」と笑いながらも二人は、「これを言ったら相手はどんな気持ちになるだろう、自分が言われたらどうだろうか」と考えてから、お互いに自分が言われて嫌なことは絶対言わないようには心がけていると話した。
しっかり手を取り合いながらも見つめ合うのではなく、それぞれ大好きな趣味に向かいながら歩んできた半世紀。版画とアクセサリーと二人の魅力がたっぷりつまった作品展は10月1日2日、8日9日、15日16日に開催している(午前10時~午後4時ごろ)。
■ 版画に興味を持たれた方は第1・3土曜日(午後1時半~4時)に南公民で開講している講座へどうぞ。
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