手作り公民館活動 「勇の家」今年で10年 集う人のつながりと笑顔が広がる【舞鶴】
投稿日時:2009年03月21日(土)
心と体の健康づくりと人との交流の場にと、がんで亡くなった夫の遺志を継いだ谷上早苗さん(56)=溝尻町=と市民たちが、矢之助町に「勇(ゆう)の家」を運営している。コーラスやハイキング、陶芸、ピアノなど多くのサークルと教室が開かれ、集まった人たちのつながりと笑顔が広がっている。手作りの公民館活動として地域に根づき、今年で10年目に入った。 中学校で体育の教師だった谷上さんは、47歳の時に体調を壊し、同じ時期に夫の勇(いさむ)さんが膵(すい)臓がんと分かり、47歳で亡くなった。明るい人柄で、人が集まる場所が好きな勇さんと定年退職後は、2人で卓球場を作りたいと語り合っていた。 つらい思いが重なり職場復帰できず退職したが、勇さんの想いを残そうと、自身の健康を損ねた体験も重ね、2000年に桃山町の元店舗で開設。聴覚障害者たちも活動した。建物が取り壊されることになったが、多くの利用者が存続を望み、06年からいまの旧東舞鶴幼稚園前の木造2階建て民家に移った。 「自分の好きなことを人と一緒に広げていける場に」などを活動の理念にし、3人集まればサークルができ、講師を探してスタートさせる。着付けや木版画、マージャン、習字など17のサークルと教室に、小学生~80代の延べ約100人が参加。年に1度、全員が顔を揃える交流会も開く。1人で行き場のない人を誘って来る人も増え、朗らかな話し声が絶えない場になった。 家賃などの経費と会費から会場費を差し引くと収支はとんとん。趣旨に賛同する7人の市民が運営委員として支え、講師らも応援している。利用者が手弁当で部屋を清掃したり、庭の手入れもこなす。矢之助町の主婦、植小夜子さんは「ここに来るのが楽しい。いろんな人と知り合って輪が広がりました」とコーラスサークルに参加する。 谷上さんは「人との関わりが少ない時代だからこそ、つながりを感じられる場が必要だと思います。皆さんからたくさんのことを教わり、勇気をもらっています」と話す。利用を呼びかけている。
【問い合わせ】電話63・7928、勇の家。
28日と29日は勇の家で、瀬崎の陶芸家、西野陽子さんの作品展、利用者らの手作り品の市などを開く。1日目は午後1時~同6時、2日目は午前10時~午後5時。
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