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想いよ届け 真心伝える声にのせ ~朗読ボランティア「こだま会」

想いよ届け 真心伝える声にのせ ~朗読ボランティア「こだま会」

投稿日時:2018年06月01日(金)

 市民でつくる朗読ボランティア「こだま会」(増池ふさゑ代表)が、市の広報紙「広報まいづる」をテープに録音するボランティアを続けている。視覚に障害をもつ市民らが活用するもので、毎月1回、中総合会館に集まりテープに声を吹き込んでいる。今年で6年目を迎えるが「得意とすることで少しでも誰かの助けになれば」と会員たちの思いは強い。(井上 務)

 「こだま会」は、市の朗読入門講座を受講した市民らが平成14年に設立。現在59人が在籍しており、年1回の「朗読コンサート」に加え、児童福祉施設へ朗読に行く「サポートチーム」や、老人福祉施設に行く「シニアチーム」など7チームに分かれて様々な活動を展開している。平成24年に、市の依頼を受け「広報まいづる」を音声テープにする作業を始めた。「声の広報チーム」をつくり、現在13人の会員が協力しながら作成している。毎月20日を過ぎると、市広報課から来月分の原稿を受け取り、翌日メンバーが集まりその後、下読みをする。数日間持ち帰り、各自のパートを練習した後、本番に臨む。「広報まいづる」は平均32。録音は90分テープ1本半ほどになり、3時間半~4時間ほどかけ声を吹き込むが、チーム発足当初は録音に慣れず、何度も撮り直しながら1日かけて録音したという。6年かけて、スムーズに録音できる体制を構築してきた。録音時は特に地名や人物名、同音異義語などを意識する。“声だけで正しい情報を分かりやすく伝える”を常に心がけている。チームリーダーの山添節子さんは「耳だけで伝わるように話すのは難しく、日々の練習が大切。色々な情報を欲しいと思っても、得られない方に聞いてもらえたらありがたい。作業の向うに待っている方がいる。今後も続けていきたい」と力を込める。録音したオリジナルテープは余部下の身体障害者福祉センターでダビングされ、必要とする市民へ郵送される。現在約40人が利用し、テープを通して市政やイベントなどの情報を知る。「声の広報」を利用する廣瀬佐代子さんは「毎月最初から最後まで聞いている。興味のあるイベントがあると、何度も繰り返して聞きます。読む方も上手で聞きやすい」と話す一方「テープだと繰り返す場合に不便、CDだとすごく助かる」と希望している。市障害福祉・年金課は「テープからデジタル移行への要望は把握しており、現在専用システムである“デイジー”の導入を検討している。新しい機械なので、録音などの使用方法を実際に使う方と勉強しながら進めていきたい」と話している。

【こだま会 朗読コンサート】

 5月20日は「こだま会」の朗読コンサートが、北吸の市政記念館であった。約30人が朗読を披露し、参加者たちは聞き入っていた。同会は、ボランティアの活動を広く知ってもらおうと、年に1回コンサートを開いている。プログラムは2部構成で、朝井まかての「眩(くらら)~北斎の娘~より」や角野栄子の「魔女の宅急便」、司馬遼太郎「竜馬がゆく」など7編。うす暗い会場のなか、ぼんやりと浮かび上がるステージ上で、朗々と物語が語られ、登場人物の喜びや苦悩など心の内面を表現し、来場者は静かに聞き入っていた。また、今年は明倫小の朗読クラブが参加。6人が「葉っぱのフレディ~いのちの旅~」を朗読した。今年から電子ピアノの生演奏が入り、プロジェクターに映る映像とともに、物語の背景を見事に演出していた。市内の女性は「とても上手で、物語の情景がありありと浮かびました。赤れんがの場所も素敵で、楽しい経験でした」と笑顔を見せた。同会の増池ふさゑ代表は「皆さん精一杯がんばってよいコンサートができた。生演奏も初めてでしたが、よかった。これからも来場者が飽きないような工夫をしながら続けていきたい」と話した。
(井上 務)

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