心温まる「人情」伝えたい~樋口一葉「大つごもり」公演
投稿日時:2017年12月19日(火)
市民らでつくる舞鶴演劇サークル「谺(やまびこ)」が、7回目の定期公演「大つごもり」に向けて稽古に励んでいる。今年は樋口一葉の短編小説「大つごもり」を取り上げた。明治時代の古き「風情ある人情」をテーマに舞台をつくりあげ、心温まる「人情」「家族愛」を伝える。23、24の両日、浜の総合文化会館小ホールで開かれる。
【演劇サークル「谺(やまびこ)」23日・24日、総合文化会館で公演】
平成22年に市民7人でスタートし、年に一度の公演のほか、福祉施設へのボランティア公演など、舞鶴で唯一の演劇サークルとして活動する。現在団員は主婦や社会人、学生など20人。同団代表の粕谷美枝子さんが、樋口一葉の美しい古典文学を演劇化したいと長年思っていた。劇作家である小川英之さんが同小説を朗読劇に脚本化したものをベースにしており、コロスというナレーションが入り、劇の背景や要約を伝える。「大つごもり」とは大晦日のこと。明治中期、両親を亡くした幼い主人公お峯が、おおきなお店へ奉公にあがる。ヒステリックな奥様に翻弄されるお峯だが、優しい大旦那と放蕩三昧の若旦那の間で健気に働く。そんな折に育ててくれた伯父に頼まれる借金、思わず了承するが、思うようにいかない中、次第に追い詰められていく…。5月から稽古をはじめた。仕事などで全員そろっての稽古は難しいが、本番が近づいた今月からは回数も増やし稽古にも熱が入っている。
【新人2人が主役と準主役に大抜擢】
主人公の「お峯」と準主役の「奥様」を演じるのは新人の2人。お峯役は社会人の下津瑞貴さん(22)。奥様役は学生の安井美也香さん(20)がそれぞれ演じる。今年の3月に入団した下津さんは大学時代に演劇サークルに入っており経験は豊富だ。「舞鶴では初舞台で緊張します。お峯の葛藤や苦悩と同時に心温まる人情、ほっこりとした笑いを感じて欲しい」と話す。昨年12月に入団した安井さんはほぼ未経験、本格的な舞台は今回が初めてとなる。「自分とは正反対の役柄でつかめない所があるが、粕谷さんに指導をして頂き頑張って演じたい」と力強い。粕谷代表は「本読みの時点でいけると感じた。重要な役柄なので確かに挑戦だが演じ切ってくれると思う」と期待の言葉を述べ「貧困のもとに生まれた人々が背負っていかなければならない人生の中で、懸命に生きる人々の人情と家族愛を感じて欲しい。多くの人に観にきて欲しい」と話した。
(井上 務)
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