建築甲子園で優勝
舞鶴高専の磯田さん
府内で初となる快挙
審査員が満場一致で決定「まちづくり委員長特別賞」も同時受賞
投稿日時:2022年01月21日(金)
白屋の舞鶴高専で1月13日、建築設計の提案を競う「第12回建築甲子園」(日本建築士会連合会、都道府県建築士会主催)の授賞式がオンラインで開催され、建設システム工学科3年・磯田倫花さん(18)が府内の学校で初めてとなる優勝の栄誉に輝いた。磯田さんの作品は「まちづくり委員長特別賞」にも選ばれ、ダブル受賞の快挙に、祝福の声が広がった。
全国の工業高、高校、高専の生徒・学生を対象に年に1度開かれる大会には、同校の学生らもこれまで何度も挑戦してきた。1年生の時にも出品した磯田さんだが、その時に受賞したのは奨励賞。再度の挑戦をと意気込んでいた昨年は、コロナ禍により大会自体が中止となった。
満を持して臨んだ再挑戦の作品は、「融解と浸透」と名づけた。「地域のくらし―これからの地区センター」の大会テーマを受け題材に取り上げたのは、出身地である福知山市で友人が住む平野町。従来からある地区センターを「1か所に役割が固まっており、『氷』のような建築」と位置づけ、「融解した地区センターは地域の核を伝い、コミュニティを、人、町、日常に浸透して行く」というコンセプトで作品を作り上げた。
今大会には全国58校から87作品が寄せられ、うち34作品が進んだ全国大会では、昨年11月に行われた第一次審査を皮切りに、映像プレゼンテーションによる第二次審査を経て各賞が決定した。
審査委員長を務めた片山和俊氏(東京芸術大名誉教授)は、磯田さんの作品を「満場一致で決定した」とし、「審査を重ね、内容が読み込まれていく内に、作品が丁寧な観察や組立の上に創出されたものであること、作品テーマのごとく魅力が委員側に浸透して確かなものになったと思われる。平凡な郊外の町中にある住民間のコミュニケーションのあり方と建築の関係が、細やかな観察と確かな構成に基づき姿を見せ、それが個性豊かに表現されている」と絶賛した。
【努力で勝ち取った最高の結果】
授賞式当日、東京会場とオンラインで結んだ舞鶴高専の特設会場では、磯田さんの指導に当たった建設システム工学科の尾上亮介教授(53)がともに式に臨んだ。
尾上教授は「本当に粘り強く、熱心に取り組んでくれた。コロナ禍で不自由もあった中、メールやズームなどでやり取りを繰り返した。そのひたむきさが、今回の結果につながったと思う。また、優勝に現実感を持てた後輩たちが、今後の励みにしてくれると思う」と磯田さんの頑張りをたたえ、来年以降に挑戦する学生たちに期待を寄せた。
作品の題材となった福知山市平野町では、以前は週に1回、歩道で「ふれあい市」が開かれていたという。
地域の人たちが集い生活を彩るために必要なものは、「交流の文化」だと考えた磯田さん。大きな「箱モノ」をつくるのではなく、交流を生み出す仕掛けこそが重要になると提案した。
夏休みを返上して作品づくりに没頭したという磯田さんは「作品は尾上先生をはじめ、たくさんの人たちの支えによって完成させることができました。長い間苦しみましたが、ダブル受賞という形につながって、本当にうれしく思います。奨励賞をいただいた一昨年から成長できました。今後も建築の勉強に励んでいきたいです」と喜びを爆発させた。
同校では、「お試し住宅」など市と連携した取り組みも数多い。磯田さんの快挙が後に続く若者たちの道標となり、その英知の結集が当地を明るく照らすことを期待したい。
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