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平地区の安全と繁栄を祈り-伝統行事「村祈祷」-

平地区の安全と繁栄を祈り-伝統行事「村祈祷」-

投稿日時:2017年01月20日(金)

 平地区で1月14日、大きなワラジやゾウリを作り祀ることで厄を払い、今年一年の無病息災などを願う伝統行事「村祈祷(むらきとう)」が行われた。この行事は、毎年1月14日前後に行われ、約200年以上の歴史を持ち、現在は同地区と農業法人大浦ファームが協力して伝統を引き継いている。早朝、集まった地域の役員などは、稲刈りの際に集まった約150坪分のワラを使って、約2メートルの大きな蛇(じゃ)・ワラジ・ゾウリを作っていく。完成後、同地区の長雲寺では厄年を迎える者、地域の役員が集まり、同寺の澤江行寛(ぎょうかん)住職らにより、曹洞宗の法式(ほっしき)で、大般若経の転読(てんどく)が行われた。厳かな雰囲気の中で厄は払われ、参加した住民は思い思いの祈りを捧げるとともに地域の平穏を願った。祈祷が終わると、ワラの作り物を吊るした竹の先にお札を付け、赤野との境にはワラジを、佐波賀(さばか)との境にはゾウリを、大丹生(おおにゅう)との境には蛇を置く。大きなゾウリやワラジには、「こんなに大きな物を履く大男がいるのか」と威嚇させることで魔除けの意味合いを持ち、蛇は侵入してくる悪霊を追い払うと伝えられているそうだ。同地区の木下修一区長(60)は「厄年の方もそうですが、平地区も平穏で穏やかに過ごせることを願います」と語った。平地区にはその他にも古い歴史を持つ伝統行事が残っている。同日の夜には、地域の子どもたちが餅を焼いた後に「若宮の祭りとて狐がえりわ一狐泣く天泣く 泣く狐みよや」と叫びながら村中を周る「きつねがり」(現在は八幡神社に集まり、菓子をもらって帰る)行事。同月15日の朝には、前年中に嫁いできた家へ子どもたちが「尻はりにきました」と言って訪問し、尻を張られる代わりにお菓子を渡して許してもらう「尻はり」という嫁いできた者を歓迎する行事など、独特な行事が現存している。地域の安全と繁栄を祈る古き良き伝統行事。大人から子供へ。伝統は脈々と受け継がれている。

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