川柳が闘病の支え 舞鶴番傘の大槻さん 食道がん越え 古希の記念に句集作る【舞鶴】
投稿日時:2012年01月06日(金)
舞鶴番傘川柳会の大槻敏郎さん(70)=引土=が、食道がんを乗り越え古希を迎えた記念にと、句集「風の驛Ⅱ」(167ページ)をこのほど自費出版した。愛知県安城市から舞鶴市へ転居したこの5年間に作った中から300句を収録した。入院中に病室のベッドから投句した作品などもあり、川柳が闘病を支えた。 安城市時代の1997年に川柳づくりを始め、転居する時に第一句集を作成して、お世話になった人たちに贈ったことがある。2006年から妻の実家がある舞鶴市で暮らし、同川柳会のほか、田辺城ボランティアガイド、マジックサークルでも活動している。 一昨年夏、食道がんが見つかり11月に手術を受けた。入院中も作句を続け、病院のポストから投句した。その後、通院を続けるが自宅で療養生活を送る。古希を迎えたことも重なり第二句集の出版を決めた。 「ちょっとそこまでロンドンと言ってみる」では旅行好きな一面を書き表した。食道がんについて「まさか癌だったとは雷の一撃」とその衝撃の大きさを吐露している。「寂しさを懐にして長寿国」と手術後の思いを記す。子供たちが祝ってくれた古希では「最初はグーそれから浬子とする喜劇」と孫とのふれあいを綴った。 このほかにも「飽食の陰で地球の乾く音」「戦争の涙を貯めた世界地図」など社会批評のような句も詠む。表紙には自作の墨絵を採用し、句だけでなく写真や随筆も載せるなど編集に工夫を凝らした。100部作り友人らに配った。 大槻さんは「日記の代わりに句を作っています。手術後、せきをすると激痛が体に走りましたが、川柳を考えることで気分が紛れました。川柳があって助かった思いです」と話している。
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