夏の海の味覚、岩ガキの養殖進む 青井カキ組合が試験出荷を始める【舞鶴】
投稿日時:2005年06月28日(火)
夏の海の味覚として知られる岩ガキの養殖が、舞鶴湾で進められている。2003年冬から青井沖でマガキの養殖業者がスタートさせ、来年夏に出荷予定だったが、予想を上回る成長の早さで、先月から試験出荷を始めた。天然ものは出荷までに4、5年かかるというが、2年で大きな岩ガキが出来た成果に関係者も驚いている。本格的な事業化に向け上々の滑り出しに、将来は舞鶴のブランド産品にと意気込んでいる。岩ガキは殻の長さが20センチを超える大型のカキで、夏に旬を迎える。天然のものは磯の海底の岩場に生息し、素潜りで採る。舞鶴では博奕岬の湾口などが漁場となっており、生食用は高級食材として高値で買い取られている。岩ガキの養殖は宮津市の府立海洋センターの指導で、01年から伊根湾と栗田湾で始まった。舞鶴では青井カキ組合の大下敏明組合長(56)ら2人が03年から、その後に白杉でも1人が取り組みを開始した。湾口の磯を生息地にしていることから、当初は湾口に養殖施設を設置する計画だったが、従来のマガキの養殖筏で養殖が可能と知り、既存の筏を利用している。同センターが天然の岩ガキの胞子から種を育成し、ホタテ貝1枚に20~30個の種を付け、筏から長さ6メートルのロープに50センチ間隔で5枚のホタテ貝を吊るす。1基の筏に100本のロープを結ぶ。貝に付着したムラサキイガイなどを春に取り除き、多くの岩ガキが出来た場合は間引いた。マガキは昨年の台風の波で多くがロープから落ちたが、岩ガキは無事だった。 養殖の場合は出荷までに3年間かかるとされているが、4月に揚げたところ、出荷サイズの20センチ、重さ250グラム(殻付き)を超えていた。大きなものでは重さ350グラムもあり、同センターは伊根湾などよりも生育がいいと驚く。関係機関と話し合い、競りにかけず府魚連が買い取る形で、計6基の筏で養殖する青井の2人がすでに3000個を試験出荷した。8月末までに3000個を出荷する予定という。大下さんは「天然ものに比べ殻は薄く、身が分厚い。周囲に山がある舞鶴湾はミネラルが豊富で、養殖に適しているのではないか。マガキの出荷が3月に終わった後、筏では仕事がなかったが、夏場にできる仕事を作りたかった。今後は規模を大きくしていきたい」と話していた。
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