変化への一歩 着実に
ハロウィーンイベント
商店街に「非日常」の演出を
関わる人たちのやる気と笑顔が未来を拓くパスポート
投稿日時:2022年11月08日(火)
全国津々浦々で、人の往来が減り続ける商店街。とりわけ地方都市では、「中心市街地の活性化」が、町の課題のひとつとして取り上げられることが数多い。コロナ禍も重なり、この数年は衰退が著しい商店街だが、活性化へのきっかけになればと関係者らが立ち上がった。
西舞鶴駅から最も近い新世界商店街の振興組合(松本泰理事長)が主催する初開催のハロウィーンイベントが10月29日にあった。
「普段は人通りの少ない商店街に“非日常のにぎわい”をつくり出したい」と、会員らが話を重ねる中で企画。商店街へ園児を招待し、お菓子を配るというものだ。
仮装して参加したのは三鶴幼稚園と舞鶴せいほう保育園等の園児ら45人。今回お菓子を準備したのは主に同組合に属する15店舗で、それぞれの店主が店先に立つなどしながら小さな客人を出迎えた。
また当日は、このほかにも多数のボランティアが仮装して参加。西舞鶴高と日星高の生徒は園児へのお菓子配布などを手伝った。
園職員や保護者の誘導のもと可愛らしい手作りのマントなどを着けて商店街を歩いた園児ら。店舗前で目印のイラストを見つけると「トリック・オア・トリートお菓子をくれないといたずらしちゃうぞ」と大きな声でお菓子をおねだり。応対した店主が「ハツピーハロウィーン」とお菓子を手渡すと笑顔を弾けさせた。
秋晴れに恵まれた週末とあってこの日、商店街が面する国道27号線は多くの車が往来。「何をやっているのだろう」と言わんばかりに興味深そうな視線を注ぐ人も多く、人であふれた商店街は、まさに「非日常」の雰囲気に包まれていた。
【中心市街地 活性化に近道なし】
同商店街は、組合設立から40年を超える歴史を持つ。法人化以前からも商家が軒を連ね、長年に渡って西舞鶴の玄関口にふさわしい活気を保っていた。
しかし商環境は変化し続け、当時は「黒船襲来」とばかりに対立した駅前の大型店舗さえ撤退するなど、往時を知る住民からは「寂しいのひと言」の声も。
そんな中、今回の企画を中心となって練り上げたのは同商店街で洋服店を営む山下洋平さん(48)。山下さんは「出来るだけ多くの人に携わってもらい、多くの人で街を盛り上げたい」と、高校生らに参加を呼びかけた。
園に記念として渡す動画の撮影に取り組んだ日星高放送部動画班の松本将和さん(2年)は、「とても良い企画。こういうものには、また参加したい」と充実感を漂わせた。
西舞鶴高ボランティア部の瀬野あやかさん(2年)は、「子どもから大きな声でお礼を言われたりしてとても嬉しかった」と振り返り、「普段から通学路で通る場所だけど、初めて店の中に入ったりすることができ、お店の人の良い人柄にふれて親近感を持った」と笑顔を見せた。
イベントを見届けた京都府中小企業支援課商店街創生センターの神﨑浩子さん(61)は、「参加した人たちの笑顔に今後の可能性を感じた。そこから口コミが広がって、『次は自分も』となるのではないか」と話すと「商店街の活性化はどこの街でも大きな課題。こうした事例は他への好例になると思う」と絶賛した。
長年の課題に即効薬はあるはずがない。しかし、この日に蒔かれた前向きな変化の種は、いずれ何かしらの花を咲かせるに違いない。
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