声にのせて心に響く こだま会朗読コンサート
投稿日時:2017年07月04日(火)
舞鶴市政記念館で2日、「こだま会 第15回朗読コンサート」がひらかれた。当日は、およそ150人が来場し会場を埋め尽くした。演目は、野坂昭如の「火垂るの墓」や谷崎潤一郎の「刺青」など7編。うす暗い会場の中、ぼんやりと浮かび上がるステージで朗々と語られる物語に、聴衆は静かに聞きいった。朗読に出演したのは小学2年生から84歳までと幅広い。およそ60人の会員を擁するこだま会だが、コンサートへの来場は年々増えてきているという。今回の実行委員長を務めた中井洋美さん(65)は、朗読を始めて3年になる。もともとピアノやコーラスの趣味を持っていた中井さん。高校の同級生だった夫を10年前に病気で亡くし、喪失感でしばらく立ち直れなかった。そんななか、闘病中によくしてくれた看護師に触発され、自身も人の役に立とうとグループホームに勤務するようになる。介護士の資格も取り、認知症の入所者に我流で読み聞かせをすると、心が通った実感があった。その後体調を崩し職は辞したが、読み聞かせへの興味が再び湧いた。「朗読の奥の深さに驚きました」我流で始めた読み聞かせとは、まるで違う朗読の世界。元NHKアナウンサーの講師を招いての勉強会などを通して、その魅力に傾倒するようになった。「静まり返った会場で、集中して聴いて下さる。張り詰めた緊張感と充実感に包まれます」と朗読の魅力を語る中井さんだが、今後は同時期に始めた友人と、ピアノ演奏とのコラボレーションをしてみたいと抱負を述べた。演者と聴衆が織りなす一体感。「声」の可能性を示す朗読会は、今後さらなる広がりをみせるに違いない。
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